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北朝鮮から唯一ビザなし渡航できる「マレーシア」その理由は?

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2017.03.22 12:00 最終更新日:2017.03.22 12:00

北朝鮮から唯一ビザなし渡航できる「マレーシア」その理由は?

『暗殺事件のあったクアラルンプール空港』

 

 東京都豊島区にある人気のマレーシア料理店。この店は目下、ある理由で大賑わいだ。

 

「テレビ局がマレーシアの警察に電話取材するため、うちのアルバイト学生に通訳をやってほしいと依頼が殺到しています。日本語に堪能なマレーシア人の留学生が応じています」(店主)

 

 マレーシアで起きた金正男氏殺害事件。現地警察は使用された毒物が「VXガス」と発表。複数の北朝鮮籍容疑者の特定など、事件は北朝鮮による組織的犯行とみられている。

 

 もともと北朝鮮とマレーシアは密接な関係だった。両国は1973年に国交を樹立、2009年には唯一、マレーシアだけが北朝鮮とビザなしで渡航できる国となった。

 

「両国の関係は、マレーシアのマハティール前首相と北朝鮮の故・金正日総書記との個人的な友好関係から始まっている。反米主義者だったマハティールにとって、金正日は同志的な信頼関係があった」(マレーシアの華僑系企業経営者)

 

 マレーシアの発展にとって、欠かせない言葉がある。北朝鮮動向にも詳しいジェトロ・アジア経済研究所の中川雅彦主任調査研究員は言う。

 

「マハティール前首相は『ルックイースト』と、東アジアを見習えと言っていました。これは日本や韓国に限らず、北朝鮮も含まれていて、だから、北朝鮮とも仲よくしたんです」

 

 一方、北朝鮮にとってマレーシアは外交の舞台として重要だった。拓殖大学客員研究員で元韓国国防省北韓分析官の高永喆氏が語る。

 

「北朝鮮は、マレーシアと友好関係を築くことで、マレーシアに他国との緩衝材的な役割を期待していた。政治的、経済的、そして情報活動分野でもマレーシアは重要拠点だった」

 

 2013年、クアラルンプールの名門HELP大学は、労働党委員長の金正恩に、名誉博士号を授与。「北朝鮮とマレーシアとの間に人々の架け橋をつくった」功績に対してだったという。

 ところが、マレーシア国民が北朝鮮に親しみを持っているかといえば、そうではない。

 

「母国では、今回の事件で韓国と北朝鮮が別の国と知った人もいるぐらいです。北朝鮮はマレーシア警察の捜査能力は低く、事件を起こしても解明できないと舐めていたのでは。みんな北朝鮮に怒っています」(在日マレーシア人男性)

 

「ペルソナ・ノン・グラータ(外交上の好ましからざる人物)」。マレーシア政府は在マレーシア北朝鮮大使をそう評している。このままでは国交断絶もありうるか。

(週刊FLASH 2017年3月14日号)

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