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ウクライナ危機で世界が見据える “中国への経済制裁”!懸念される「台湾侵攻」「大量円売りで日本も返り血」
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2022.03.29 06:00 最終更新日:2022.03.29 06:00
開戦から約1カ月が経過した、ロシアによるウクライナ侵攻。戦争は混迷を極めており、先行きが見通せない状態が続いている。
国際社会が次々とロシアへの制裁をおこなうなか、にわかに注目を集めているのが中国の動向だ。というのも、中国は開戦から一貫してロシアに対して融和的な態度を取り続けており、二大強権国家ののっぴきならない蜜月が窺える。
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上智大学総合グローバル学部の前嶋和弘教授は語る。
「ウクライナでの戦争を止めさせるには、中国に手出しをさせないのがポイントになります。いま各国がロシアに経済制裁をしていますが、中国はそこに加わっていない。
中国がロシアを助ける輸出をした場合、バイデン政権、日本を含めたG7やNATOの狙いとして、中国への経済制裁が取りざたされているわけです」
だが、中国は14億人を超える人口を抱え、“世界の工場” ともいわれる超大国。内需の大きいこの国に経済制裁を加えることは、簡単なことではないように思われるがーー。
「中国は通貨やネットなど、自国で完結しているものが多い国。そのため経済制裁をおこなうなら、ロシアと取引する企業に対してでしょう。ロシアは中国からの輸入の依存度が高く、工業製品や電化製品、電気自動車などが該当します。
かつて、米国がファーウェイを制裁するために、自国から製品を締め出しましたが、これは巨大企業ゆえに、中国全体に影響を与えられました」(東京大学公共政策大学院・鈴木一人教授)
また、愛知大学国際中国学研究センターの高橋五郎名誉教授は、中国の意外な “アキレス腱” を指摘する。
「中国は半導体に欠かせない集積回路を自国で作ることができません。日本はスマホやカメラで使用する半導体のイメージセンサーの世界シェアのうち約50%を持っているので、この輸出をストップすれば、スマホ社会の中国にとっては相当な痛手になるでしょう」
だが、中国に制裁を加えて孤立させることは、大きなリスクもともなう。東京大学大学院の鈴木宣弘教授が警鐘を鳴らす。
「かつて太平洋戦争に突っ込んでいった日本は、ABCD包囲網の経済封鎖で窮地に陥ったことが契機となりましたが、それと同じようなリスクを考える必要があります」
半導体の禁輸措置で窮地に陥った中国が台湾の半導体を狙う可能性があるというのだ。
「アメリカには “ウクライナの次は台湾だ” と、中国の台湾侵攻を警戒する動きが、実際に出始めています」(前出・前嶋教授)
一方、経済制裁をおこなえば、日本も返り血を浴びることになる。
「中国は外貨として大量の日本円を持っていますが、報復としてこれを放出することで、さらなる円安が加速し、日本経済は大打撃を受けるでしょう」(前出・高橋教授)
大国と刃を交えることは、簡単ではない。