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「かぼちゃの馬車」元社長が高校理事長になっていた!苗字も変え、高級マンション暮らしのチョロすぎる転生

社会・政治 投稿日:2022.03.31 06:00FLASH編集部

「かぼちゃの馬車」元社長が高校理事長になっていた!苗字も変え、高級マンション暮らしのチョロすぎる転生

2018年1月、被害者に向けた説明会。菅澤社長は再建を誓ったが、3カ月後に民事再生法の適用を申請。被害者たちの反発で、スマートデイズは破産に至った

 

 全国の全日制高校で定員割れが起きるなか、志願者が増えているのが通信制高校だ。2021年度の生徒数は、前年から1万人以上増え、過去最多の約22万人だ(文科省発表)。

 

香川真司藤田ニコルなど、著名人が入学して知名度が上がり、また自分に合ったカリキュラムを組めることも人気の理由です」(教育専門誌記者)

 

 その結果、全日制や学習塾、異業種からの参入で、新たな通信制高校が続々と開校している。そんな “バブル” のなかで、関西のある通信制高校の経営者が憤慨している。

 

 

「あんな事件を起こした男が、通信制高校の理事長に就いているのです。この業界の印象が悪くなるし、同校の生徒は知らされていないはずです」

 

 こう名指しされたのは、女性向けシェアハウス「かぼちゃの馬車」を運営していたスマートデイズの菅澤聡社長(37)だ。

 

 シェアハウスを建ててオーナーになれば、家賃収入により年8%の高利回りが出ると謳い、投資家を募っていたスマートデイズ。2017年3月期に320億円を売り上げ(東京商工リサーチ調べ)、タレントのベッキーをテレビCMに起用して話題を呼んだが、2018年1月に突然オーナーへの家賃支払いを停止。多くの投資家がローン返済不能となり、被害者は1000人、被害総額は1000億円を超えた。

 

 被害者の一人で、現在は消費者被害救済をおこなう一般社団法人ReBORNsの冨谷皐介代表はこう振り返る。

 

「投資家といっても、みんな将来に不安を持つふつうのサラリーマンでした。頭金0円で銀行融資が受けられ、家賃支払いは30年間保証すると説明されましたが、建築費を水増ししてオーナーの負担を増やす一方で、家賃保証額を相場より高く設定して高利回りに見せかけていました。『入居率9割』などの勧誘文句も嘘で、新しい投資家の資金を既存の投資家への支払いに回していただけだったのです」

 

 菅澤氏は慶応大在学中、大学内に設置したコピー機の用紙に広告を掲載し、コピー料金を無料にする「タダコピ」事業を興し、オーシャナイズを設立した。同社が2017年にスマートデイズの親会社となり、事業拡大にまい進し、被害者を増加させた。

 

「家賃支払いを停止した後、菅澤氏自身がスマートデイズの社長に就き、投資家への説明会を開いて『私も騙されました』と言って泣き、『再建します』と明言しました。しかし、そのわずか3カ月後に民事再生法の適用を申請し、私たちを切り捨てて逃げようとしたのです」(前出・冨谷氏)

 

 現在は、大手事務所に所属するフリーアナウンサーの妻と、港区内の超高級賃貸マンションに暮らす菅澤氏。じつは、「かぼちゃの馬車」が破綻した後の2019年、菅澤氏は山口県の松陰高校(通信制)を運営する学校法人山口松陰学園を買収し、2021年からは理事長の椅子に納まっていたのだ。

 

 松陰高校は2010年開校。全国30カ所以上に教室を展開し、定員を900人まで増やしている。サッカー元日本代表の本田圭佑氏、2ちゃんねる創設者の西村博之氏らの特別授業など、ユニークな取り組みをしているが、菅澤氏の買収には不透明な点が少なくない。

 

「買収金額は5億円といわれていますが、学校法人は株を発行していないため、買収の方法が企業とは異なります。多くは、学校法人のオーナーにお金を払い、買収側が新たな理事会を構成するのですが、菅澤氏が誰にお金を払ったのかは表に出ていません。

 

 菅澤氏が理事長に就いたのは、買収後1年以上が過ぎた昨年2月のことですが、『松本聡』と改名していたため、最近まで “かぼちゃの馬車の菅澤” だとわからなかったのです」(前出・通信制高校経営者)

 

 2019年から2021年まで菅澤氏の前任者として山口松陰学園の理事長を1年あまり務めたのが、オーシャナイズの元監査役で、リクルートの米国法人社長などを歴任した伊庭野基明氏だ。伊庭野氏が語る。

 

「松陰高校を買った菅澤から私に、理事長就任の要請があったのです。資金は、菅澤が知人から集めたんじゃないですか。私は理事長を続けたかったのですが、いま体調が悪く、コロナ禍もあったので、菅澤にやってもらうことにしたんです。(菅澤氏の改名は)結婚したからだと聞いています。事件のこととは関係ないんじゃないですか」

 

 菅澤氏に問い合わせると、代わりに弁護士から回答があった。買収の経緯や資金については、「山口松陰学園は学校法人であり、そもそも買収というものを想定することができませんし、松本氏が2019年秋に本学園を5億円で買収したという事実もありません」と、言葉の定義について異論を唱えた。

 

 改名の件は「松本聡が本名です。苗字が変わった理由については、プライベートな事由となりますので、回答を差し控えさせていただきます」。

 

「かぼちゃの馬車」事件に対しては、「破綻時の親会社の社長として、松本氏は大きな責任を感じています。融資書類の改ざんなどの不正行為をおこなっていた旧経営陣に対しては、オーシャナイズも株主として訴訟を提起し、法的責任を追及してまいりました」。

 

 通信制高校に詳しい北海道大学大学院の姉崎洋一名誉教授が実情を解説する。

 

「全国展開する通信制高校は、生徒数に対し、教員や教室にかかる経費を非常に安く抑えられます。そこにビジネス的な旨みを感じ、教育よりも経営に関心を持つ人が、経営者になることはあり得ます。

 

 また、監督権限を持つ自治体は、経営者が変わっても、人物の審査まではできていないのが現状ではないでしょうか。一般論として、過去に社会的な事件を起こした人物でも、経営者になることは可能です」

 

 本誌への回答書の中には、「生徒一人ひとりにしっかりと寄り添い、質の高い教育を確保していきたいとの想いがすべてです」ともあった。

 

 事件の被害者には寄り添うことのなかった菅澤氏。教育者として、その二の舞は許されない。

 

( 週刊FLASH 2022年4月12日号 )

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