「フランク三浦は許されるのに……」パロディ時計「OMECO」がオメガ社に訴えられて商標取り消し 社長が嘆く「ウチは零細だから……」

OMECO時計をつける風間氏。「オメガの時計は持っていませんし、好きでもありません」

 

「フランク三浦」という時計ブランドをご存知だろうか。樽のようなシェイプ、立体感のある特徴的な文字盤ーーあのスイスの高級時計「フランク・ミュラー」を模したパロディ時計だ。数千円と手軽な値段で買えるため、ジョークグッズとして芸能界にも愛好者が多くいる。

 

 フランク三浦は、2012年8月に商標登録されたが、これに本家フランク・ミュラーが異議を申し立てて泥沼の裁判闘争に投入した。2016年、知的財産高等裁判所が「(両者は)明確に区別が出来る」「価格帯が明らかに違う」と判断して、フランク三浦の勝利に終わった。

 

 

 そして今、“第2のフランク三浦裁判”が始まろうとしている。問題とされているのは、高級時計オメガのパロディ時計、OMECOだ。株式会社OMECO代表取締役・風間友亮氏が語る。

 

「うちの商品は、変態高級腕時計と銘打ったオメガのパロディ時計です。価格は2万円以下。文字盤の中央上に女性器のマークとOMECOの文字が刻印されています。5年ほど前から販売していた人気商品なんです」

 

 OMECO社は2020年8月5日に「OMECO」を商標登録した。登録後2カ月間は、第三者が異議を申し立てられる。

 

「すると本家のオメガ社側が特許庁に、『OMECO』の商標登録を取り消すよう申請したのです。そして2021年12月14日、異議が認められて商標は取り消されてしまいました。特許庁によれば、顧客が両者を混同する恐れがあり、『OMECO』という卑猥な印象を与える名前が、オメガのブランドイメージにただ乗りしており、不正な目的での商標登録とされました」

 

 また弁護士を通じてオメガ社から直接にも抗議が来ているという。

 

「『もう作りません』『私たちは真似しました』『不正競争防止法違反を認めます』などという文章にサインしてください、という内容証明が届きました。OMECOとオメガと似ている点も詳細に指摘する文章が書いてありました。こんな要求を受け入れることはできませんし、具体的にオメガのどのモデルがOMECOのどのモデルに酷似しているというのかもわからないので、弁護士や弁理士に相談したうえで返答すると、その後は連絡が途絶えました」

 

 特許庁には意見陳述書を2回送ったがいずれも却下された。そこで今回、特許庁の決定を不服とする行政訴訟を知的財産高等裁判所へ提起することにしたという。

 

「そもそも、デパートや専門店で販売されていて何十万円もするような高級時計と、ネットだけで買えるうちの商品を混同することなんてありますか?

 

 うちはオメガのふりをして売っているわけではなく、あくまでパロディなんです。また、OMECOという名称が卑猥と指摘されていますが、そもそもうちの会社名がそもそも株式会社OMECOですからね。公序良俗に反するというのなら、なぜ登記できたのかというお話です。名前の由来である『おめこ』の語源は、女性を敬う『御女子』です。そこから女性器や性交を意味する言葉となりましたが、広辞苑にも載っていない関西限定の俗語です。さらにローマ字で表記しているわけですから、ただちに卑猥な意味に受け取られるとも思えませんし、オメガ社のブランドイメージを傷つけるとも思えません。

 

 そもそも、OMECOが売れてもオメガの時計が売れなくなるとは、考えられないですよね」

 

 裁判費用はすでに100万円超。OMECO社にとっては非常に苦しい出費だ。

 

「やはり日本は裁判をしづらいですよね。こういう案件は泣き寝入りする人も多いと思います。向こうはスイスに本社がある大企業で、うちは単なる零細企業ですから。ただ、僕たちはみんなに面白がって欲しいという一心で、真剣に頑張って作ってきました。現在は裁判中でOMECO時計を販売できませんが、何とか認められたいと思います」

 

 パロディ時計の先輩であるフランク三浦も応援してくれているという。

 

「コラボがしたくてメールをしたら、社長ご本人から折り返し電話をもらったんです。『すごく面白い会社だと思って電話しました』と。裁判についてもどんどんやるべきだと応援してくれました。フランク三浦さんとのコラボで『フランクな女』という時計を作りたかったのですが、それは断られました(笑)」

 

 OMECO時計が再び日の目を見る日は来るのだろうか。