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朝日新聞販売組織のトップが「悪質飲酒運転」で死亡事故…取材に本社は「取引先がやったこと」と他人行儀すぎる回答
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2022.04.19 06:00 最終更新日:2022.04.19 06:00
「死亡事故を起こしたのが、加藤さんだと聞いて驚きました。『朝日新聞』販売所経営者のなかでは、超大物でしたから」
都内の朝日新聞販売所(朝日新聞サービスアンカー=ASA)の関係者がそう語る。
「加藤さんは2020年4月から、朝日新聞社の東京本社管内の有力販売所経営者で構成される『朝日築地会』の会長だったのです。さらに、加藤さんは同管内の全販売所経営者の集まりである『東京連合朝日会』の副会長も務めており、来年はその会長に就任する予定でした」(同前)
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そんな加藤氏について、4月9日付の「朝日新聞」は、次のように報じた。
〈飲酒運転して女性をはねたとして、警視庁は会社役員の加藤政則容疑者(57)を自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致傷)と道路交通法違反(酒気帯び運転)の疑いで現行犯逮捕し、8日発表した。女性は搬送先の病院で死亡が確認された。加藤容疑者は朝日新聞販売所(ASA)を都内で4店舗運営する「アサヒメディア」(練馬区)を経営している。(中略)署は容疑を過失運転致死に切り替えて調べる方針。〉
朝日新聞販売所の経営者であることは自ら報じているが、加藤容疑者が販売組織のトップであることは書かれていない。加藤容疑者について、冒頭の関係者が続ける。
「事故を起こした当日は、販売所仲間らとゴルフに行っていたようです。加藤さんは元高校球児で、社長としては2代目です。亡くなった父親は、板橋地区を中心に大規模な販売所を経営していました。本人は体が大きくて、押しが強いタイプですね」
「朝日築地会」に入会できるのは、一部の模範店主のみだ。
「ASA経営者のうち、『築地会』に入会を許されるのは、全体の1、2割ほどでしょう。新聞をたくさん売るのはもちろん、新たに販売所を立ち上げたり、人材を育成していることが条件になります。
特に『築地会』の会長に就くには、朝日新聞社の販売担当トップである小田桐則雄常務執行役員のお墨付きが必要です。今回の事故をうけて東京本社販売局には大きな動揺が走り、加藤さんを要職に就けた小田桐さんの責任を問う声も上がっているようです」(前出・関係者)
一方、当然ながら加藤氏が失うものはさらに大きい。朝日新聞社の関係者が言う。
「『厳しく対処する』と言っている以上、加藤容疑者が経営する販売所とは、契約解除になるでしょうね」
8日、各販売所に朝日新聞東京本社の販売局長名で、FAXが送られてきた。「ASAの皆様へ」と題した文書には、こう書かれていた。
〈ASAの皆様におかれましては、お酒を飲んでの車、バイク等の運転は絶対にしないということを、あらためて徹底していただきますようお願いいたします。
朝日新聞社としては、このような事態を起こしたASAに対しては厳しく対処する所存です。なにとぞよろしくお願いいたします。〉
朝日新聞社に、加藤容疑者が「朝日築地会」の会長や「東京連合朝日会」の副会長であること、また同会の次期会長に就任する予定だったこと、今後のアサヒメディア社への対処について、問い合わせた。
「加藤政則氏は朝日新聞販売所(ASA)を都内で4店舗運営する『アサヒメディア』(練馬区)の経営者であり、朝日築地会の会長です。また、加藤氏は東京連合朝日会の副会長ですが、会長就任の予定については把握しておりません。取引先であるASA経営者がこのような事故を起こしたことを重く受け止めています。被害者の方のご冥福をお祈り申し上げます」(広報部)
1日、朝日新聞社の入社式で中村史郎社長は「報道を通じて社会をただすメディア企業には、高い倫理観が求められます。なかでも朝日新聞社は、自分たちが思う以上にその影響力が大きく、世間から常に注目されている企業です」(「文化通信」より)と述べた。
朝日新聞社は、編集委員の峯村健司記者(47)が「週刊ダイヤモンド」の安倍晋三元首相へのインタビュー原稿を発売前に見せるよう要求したことで “注目” を集めたばかりだ(峯村記者は懲戒処分を受けた後、20日に退社予定)。
朝日新聞社と一心同体の販売組織トップが起こした悪質死亡事故を “取引先がやったこと” と他人行儀な回答。これが倫理感のある対処なのだろうかーー。