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4月19日の福島県地震が的中…「麒麟地震研究所」が捉えた「M8超」級の前兆ノイズ
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2022.04.30 06:00 最終更新日:2022.04.30 06:00
では、冒頭で紹介した4月19日に福島県で起きた地震はどのように的中させたのか。山村氏は2020年11月、このようにツイートした。
《観測機5 関東地方及び沖合 伊豆諸島 大きな反応が継続出現中です(中略)ここ数年間は大きな反応が出ても対応地震が発生しませんでしたが1、2年以内に発生したら大地震の可能性があります》
「観測機5」は、関東地方を中心に、伊豆から東北までをカバーするものだ。山村氏は、ほかの地域の観測機のデータと見比べながら、発生すると考えられる地域を絞っていく。
「ノイズが増えてくることで、地震のエネルギーが蓄積されていることがわかるのです。地震の大きさは、ノイズが増える『前兆反応』の継続時間の長さ(グラフの横軸)に比例します。何年間も前兆反応が出ていれば、かなり大きな地震が起こりそうだと予測できるのです」
一方、ノイズの振れ幅(グラフの縦軸)が大きくなればなるほど、地震がただちに起きる可能性が高いことを示す。だが、実際に地震が発生する前には、数値が奇妙な動きをすることが多いという。
「2020年の秋ごろから、観測機5のノイズの数値が大きくなっていったのですが、2021年後半になると、その数値が急激に小さくなっていったのです。3・11のときも同様の動きを示していました」
3・11の場合、ほとんどノイズの数値が得られない日が続いたあとの3月9日、山村氏は突発的な強いノイズを観測。近日中に東日本大震災が来ることを的中させた。4月19日の地震の前も、グラフは同じ動きを示していた。
「地震の前には一度、静穏期が現われるのです。今回も、4月18日に前兆反応がありました。3・11とは比較にならない小ささでしたので、『M5クラス』と予測しました」
一方、山村氏は近年、気がかりなノイズを受信し続けている。このままエネルギーを蓄えれば、「M8超」の巨大地震となるかもしれないノイズである。
「観測機3が、2年以上大きなノイズを観測しつづけているのです。観測機3がとらえているのは、『プレート境界』と『中央構造線』です。北海道から小笠原諸島に至る日本海溝や、駿河湾からフィリピンへ向かうフィリピン海溝までのプレート境界と、熊本から四国を通り紀伊半島に抜ける中央構造線の周辺で大地震が起こると予測できます」
今回的中させた福島地震と違い、それ以上の規模になると、いつ、どこで地震が発生するのか絞り込むことが難しくなるという。だが山村氏は、もっとも起こりうる巨大地震として、3・11の震源近くで起きる「アウターライズ地震」を挙げる。
「日本海溝の外側で起こる地震のことで、最初の震源に近い箇所で大規模地震が起きるケースがよくあるのです。1896年と1933年に起きた三陸沖地震のように40年近い間隔を置くケースや、2006年と2007年の千島列島沖地震のように、わずか2カ月で次の地震が起きるケースもあります。今回も、3・11の北と南のプレート境界で大規模な地震が起こる可能性は高いと考えられます」
2年間以上、大きなノイズを発しつづける「観測機3」。不気味な “静穏期” が訪れるときを見逃すまいと、山村氏は膨大なデータを収集しつづける。