高齢化社会の課題が浮き彫りになった。各地の政令都市で「敬老パス」の廃止・見直しが進められているという。5月1日、読売新聞が報じた。
高齢者が一定額を負担することで、鉄道やバスを割安で利用できる敬老パス制度。高齢者の外出機会を増やし、社会参加を促すために運用されてきた。
しかし、報道によれば、全20の政令指定都市と東京都のうち、約6割が制度の見直し・廃止に追い込まれているという。高齢者の増加で、財政負担が大きくなってきたからだ。
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千葉県千葉市や静岡県静岡市・浜松市、広島県広島市は制度を廃止。兵庫県神戸市や京都府京都市は、自己負担額を増やす動きになっている。
2022年2月に制度を変更した名古屋市では、これまで無制限だった利用回数が、年間730回に制限された。一方、従来の市営地下鉄や市営バスに加え、市内のJR、名古屋鉄道、近畿日本鉄道でもパスを利用できるようになったという。利用範囲の拡大にともない、回数制限で財源確保を図った形となる。
名古屋市高齢福祉課の担当者に本誌が話を聞いたところ、制度見直しにあたって、市民からは「自分の利用状況で年間730回で足りるのか」といった不安の声が多く寄せられたという。
「事前に統計を取ったところ、パスの平均利用回数は年間200回で、9割以上の方が730回未満でした。大半の人にとっては、今までどおりの使用頻度で問題ないんです。ごく少数ですが、年間2000回以上も使用されている方がいらっしゃいましたから、個人間の利用差を解消した形になります」(担当者)
ネット上では、こうした制度の見直し・廃止の動きに対し、さまざまな声があがっている。
《高齢者の方が圧倒的に人口比率高いんだから、いい加減全国の自治体で見直した方が良い気がする》
《人口比率と経済状況からみてそもそも敬老パスなんて制度必要ないでしょ》
《ますます外出しなくなる方が増えるのでは・・・税金は、バカみたいなことに使わないで、こういうところに使ってほしいんだけど》
《おそらく、運転免許返納が減るでしょう。運転しないと、生活できない方への答えを出すべきです。病院へも、買い物にも行けない》
《もう、老後を日本で暮らすのは厳しいんじゃないかと本気で思ってきた。。。》
制度ができあがった1970年代から時は流れ、急速な高齢化が進む日本。さまざまな制度が “老朽化” しているようだ。
( SmartFLASH )