5月2日深夜、京都府亀岡市で震度4の地震が発生した。幸い、死傷者は出なかったものの、このところ、日本列島を震度4以上の地震が相次いで襲っており、不安は尽きない。
南海トラフをはじめとするプレート境界型の巨大地震は、プレートが別のプレートの下に沈みこむ際、境界で大規模に揺れが生じる。だが、まったく異なるメカニズムで発生する地震がある。それが「チェーン地震」だ。
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チェーン地震は、その名のとおり、圧力を受けた断層が次々に割れることで発生する。特に内陸部で連鎖的に起こり、プレート境界型の巨大地震の前兆となることから、近年、大きな注目が集まっている。
これまで本誌は何度もチェーン地震のリスクを指摘してきたが、改めて東京大学・佐藤比呂志名誉教授に、その恐ろしさを解説してもらった。
「今回の地震はマグニチュード4クラスのもので、心配しているM7クラスの1000分の1程度の大きさです。ですから、今回の地震自体は、次なる大地震を予告するものではありません。
しかし、地震が起きた場所が問題です。
今回の地震は『近畿三角帯』で起きたものです。近畿三角帯は、敦賀、淡路島、伊勢湾海峡を頂点とした三角形で形成された、世界でもっとも活断層が密集する地帯です。
これまでにも内陸地震が多数、発生しており、それらの地震の中には南海トラフ地震の前兆となったものもあります。
たとえば、1605年の南海トラフ地震では、その20年ほど前の1586年に『天正地震』と呼ばれる大地震が近畿三角帯で発生しています。詳細は不明ですが、M8クラスだったとも言われ、若狭湾や伊勢湾で大規模な津波が発生したと記録されています。
1944年に起きた南海トラフ地震では、近畿三角帯ではないですが、その前に発生したチェーン地震で、本震の倍以上、5000人もの死者が出たといわれます。家具が飛んでくるような、非常に大規模なものだったようです」
繰り返すが、今回の地震に限っていえば、直接大地震の発生を示唆するものではない。だが、大地震の危険はすぐそばにある。今後も警戒を怠ってはいけないのだ――。
( SmartFLASH )