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「暴行動画」の秀岳館サッカー部 部員たちは「SNS講習」を受けていた…謝罪動画は監督が関与し生徒たちの“発信意欲”を台なしに

社会・政治 投稿日:2022.05.05 22:00FLASH編集部

「暴行動画」の秀岳館サッカー部 部員たちは「SNS講習」を受けていた…謝罪動画は監督が関与し生徒たちの“発信意欲”を台なしに

記者会見で頭を下げる秀岳館高校サッカー部の段原一詞監督(左端)/写真・時事通信

 

 5月5日、熊本県八代市の私立秀岳館高校で記者会見が開かれた。

 

 事の発端は4月20日、同校の生徒が暴行を受けている動画が、SNS上に流出したことだった。

 

 動画は男子サッカー部の寮で、コーチを務める30代男性が、無抵抗のサッカー部員の生徒を殴る、蹴るという、暴行の様子を収めたもの。

 

 すると、4月22日に同校男子サッカー部の公式ツイッターアカウントに、暴行の被害生徒を含む選手11人が、事の経緯を説明する動画が投稿された。しかし、

 

 

《コーチを馬鹿にするような発言をしたのが今回の原因です》

 

《監督は被害者、関係した生徒は加害者》

 

 と、その内容は大人が謝罪をせず、生徒だけが謝罪するものになっており、批判が起きていた。

 

 さらに、この謝罪動画の投稿に、サッカー部の段原一詞監督が関与していたことが明らかになったのだ。

 

 じつは同校サッカー部では2021年10月から、謝罪動画が投稿された公式ツイッターアカウントに関連する試みが始まっていた。

 

 WEBメディアを運営する「株式会社グリーンカード」が「SNS発信を通してキャリア教育をおこなう試み」として、秀岳館高校サッカー部と“SNS運用ミーティング”をおこなったのだ。

 

 同社のホームページの記載によれば、

 

《自分たちの部活を通してさまざまな役割を果たし、自分の役割の価値や自分と役割との関係を見いだす試みを通して、社会に出たときに必要な考え方、スキルを実践で学んでいきます。

 

 部活のSNS発信を担当する12名が参加し、SNS発信を通して社会に必要な考えを学び、身につけていくのが狙いです。》

 

 と説明があり、秀岳館高校の男女サッカー部から有志12名が参加し、ミーティングがおこなわれたとされている。

 

 同社とのSNS講習会は定期的におこなわれ 《各SNSの特徴を理解して適切な使い方をする(ネットマナーや基礎知識を含む)こと》《画像の編集技術の方法》 を学んでいく、とされていた。

 

 生徒主体のSNS運営を目指していた矢先の新学期に、今回の事件が起きてしまったということだ。

 

 1回めの講習会で、同校生徒たちの中から発された意見にはこんなものがある。

 

《地域の人に応援して欲しい。サッカー部を発信することで、地元で応援してくれる人が増えるのではないか》

 

 だが、監督が関与した謝罪動画は批判を受けて削除され、現在、秀岳館高校サッカー部の公式ツイッターアカウント、公式インスタグラムアカウントはともに許可がないと見られない「非公開」設定になっている。

 

 段原監督は、冒頭の記者会見で「(生徒から)申し出があったときに、同じ気持ちだったので賛同した。気持ちを尊重した」と謝罪動画の経緯を説明した。

 

 しかし、「不適切だった」と動画内容について陳謝したものの、動画投稿を指示したことは認めていない。

 

 都合よく“生徒主導”を利用し、生徒たちの意欲を台なしにした罪は重い――。

 

( SmartFLASH )

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