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安倍元首相「日銀は政府の子会社、何回借り換えても構わない」発言が物議…「アベノミクス」失敗の言い訳と批判の声
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2022.05.11 06:00 最終更新日:2022.05.11 06:00
安倍晋三元首相(67)が5月9日、大分市内の会合で口にした発言が物議をかもしている。
「日本人は真面目だから、経済対策を実施すると、たくさん借金しているが大丈夫かと心配する。政府の財政を家計にたとえる人がいるが、日銀とともにお金を発行できることが、政府と家計の大きな違いだ。家計でやったら偽札になってしまう。
1000兆円ある政府の借金は、半分が日銀が買っている。日銀は、政府の子会社だ。60年の(返済)満期が来たら、借り換えても構わない。何回だって借り換えていい。世界中の中央銀行と政府の関係はそうなっている。心配する必要はない」
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立憲民主党など野党は、日銀の独立性、中立性の観点からこの発言を問題視し、追及する構えを見せている。
この発言が報じられると、SNS上でも批判的な意見が相次いだ。
《対外的には、「日銀は、中央銀行なので、独立した政策決定権があり、行政とは別物です」と言わないと海外から信用なくします》
《返済せず、借り換えを続けていくなら、消費税も必要ないし、年金減額も無い、逆に年金増額すべきだろう》
安倍政権が進めた「アベノミクス」では、国の借金である国債を日銀が大量に買い入れることで、デフレ経済の改善を目指した。その結果、国の借金が大きく膨れ上がったことについて、「将来への大きなツケとなる」と、一部の識者が批判してきた。
ただ、最近では、自国通貨を発行できる政府は財政赤字を拡大しても債務不履行になることはないという、MMT(現代貨幣理論)を唱える人もいる。
経済評論家の杉村富生氏が言う。
「理論上は可能でも、現実的とは思えません。安倍元首相の発言は、政府が発行する国債を日銀が直接引き受ける『財政ファイナンス』を容認するようなもので、非常に危険です。歯止めがきかなくなって財政赤字が膨らみ、インフレとなる。最終的には国民に負担が跳ね返ってきます」
政治ジャーナリストの角谷浩一氏も同意見だ。
「国債や借入金などを合わせた政府の債務、いわゆる “国の借金” は、2022年3月末の時点で1241兆円あまりと、6年連続で過去最大を更新しています。破綻したら誰が責任を取るのか。安倍氏の発言は、まさにアベノミクスの失敗を糊塗するものです。
さらに問題なのは、岸田文雄首相を含めて与党・自民党が、安倍氏の発言に対して沈黙を貫いていること。アベノミクスの失敗を安倍氏だけのせいにするのは大きな間違い。安倍氏を支え、アベノミクスから抜け出せない岸田政権の失政でもあります」
経済政策の失敗を認めず、その責任も追及されないようでは、いずれ日本はどこかの国の「子会社」に凋落しかねない。
( SmartFLASH )