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JR四国「来春値上げ」宣言に意外な声援「よくぞここまで粘った」「1番許せるレベル」
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2022.05.13 15:02 最終更新日:2022.05.13 17:02
JR四国が来年春の管内全路線での運賃値上げを発表したのは、5月10日のこと。2021年度の決算発表にともなう会見で、JR四国の西牧世社長はこう述べた。
「経営努力を重ねていくが、必要となる安全投資、修繕を確保した上での収支改善には限界がある。地域の基幹的な公共交通機関の役割を果たし続けるためには、大変心苦しいが、お客様にご負担をお願いせざるを得ない状況だ」
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運賃値上げは、消費税率にともなうものを除けば、27年ぶりになるという。
値上げだけに、さぞ厳しい意見が飛び交っていると思いきや、SNSには意外な声が多い。
《よくぞここまで粘った 今なら合意も得られやすいだろうし、値上げすべきタイミングだわ》
《鉄道会社の値上げで1番許せるレベルなんだよなJR四国 保線とかやることちゃんとやってるしコストカットとかしてないからね》
《むしろここまでよく持ったというべきか》
どういうことなのか。鉄道ジャーナリストの梅原淳氏が解説する。
「1987年の国鉄分割民営化以降、JR四国はずっと経営状態が悪く、一度も黒字になったことがありません。それでも、赤字路線をなるべく切り捨てることなく、ここまで頑張ってきた。そのことを、少しでも鉄道に興味がある方ならわかっているということでしょう」
人口の減少、本州との連絡橋ができたことでバス・トラック輸送が台頭、大黒柱となる路線がないことなど、JR四国にとっては逆風が続いている。だが、それも民営化以前からわかっていたことだという。
「JR東日本、東海、西日本の3社は、コロナ禍のここ2年は別として、ずっと黒字経営を続けています。大都市を抱え、収益率の高い新幹線があるからです。この3社にも赤字路線はありますが、それは新幹線などの収益で補うことができます。
しかし四国は、黒字路線が本州と結ぶ『本四備讃線』のみ。ほかの路線はすべて赤字です。JR九州は近年、不動産事業で業績を上げていますが、四国ではそれも見込めない。これまでは国からの補助金などでなんとかしのいできたのです。
たとえば、2021年度は営業利益221億円の赤字に対し、国から177億円もの支援を受けています。この原資は税金ですからね。コロナ禍の影響もあり、これまで値上げを認めてこなかった国もさすがに認めざるをえなくなった、ということでしょう」(梅原氏)
ホームから伊予灘を眺められる「下灘駅」(愛媛県伊予市)や、秘境駅として名高い「坪尻駅」(徳島県三好市)など、鉄道ファンならずとも行きたくなるスポットが多い四国の鉄道。今年の夏は鉄道で「応援旅行」に出かけてみてはいかがだろう。
( SmartFLASH )