新型コロナウイルス関連の臨時特別給付金で、463世帯に10万円ずつ振り込むはずが、誤まって1世帯に4630万円を誤振込してしまった山口県阿武町。5月12日、同町は所在不明で連絡がつかなくなっている24歳男性を提訴した。
花田憲彦町長は「町民の大切な公金だ。なんとか取り戻したい」と語っている。
この男性は同町の「空き家バンク制度」を利用して移住し、一人暮らしをしていた。
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「せっかく招いた移住者に誤振込した大金を “持ち逃げ” されたことで、同町としても怒りが収まらないのでしょう。
いま首都圏の一極集中を是正するため、地方の各自治体が取り組んでいるのが空き家バンク制度です。自治体が運営するポータルサイトなどに、空き家となっている家屋が登録され、移住希望者が情報を得られやすくなっています。
そうした情報紹介の充実に加えて、各自治体が取り組んでいるのが『支援金制度』です」(社会部記者)
阿武町でも「空き家バンク」サイトが開設されている。
空き家のリフォームには補助金が設けられ、家屋自体やトイレ、風呂など生活部分の修繕工事費の半額、上限100万円が支払われることになっている。
24歳男性は、山口県内の別の地域から阿武町に移住。男性が利用していたかどうか明らかになっていないが、同町には定住の意思がある町外出身の移住希望者に「 I ターン奨励金」として、単身世帯10万円、家族世帯20万円を支援する制度もある。
「じつは支援金は市町村だけでなく、都道府県から得られることもあります。
山口県では『直近に東京23区内に在住、または東京圏に在住し23区内に通勤』などの条件を満たし、5年以上継続して居住する意思がある移住希望者に対し、『移住支援金』を支給しています。
県の移住就業情報をもとに新規就業することなどを条件に、単身60万円、世帯100万円が支給されるんです」(前出・社会部記者)
本誌が取材した都内在住の40代男性はこう話す。
「私は山口県出身なのですが、親族がお隣の島根県に家を持っていたんです。その親族が亡くなり、空き家となっていた島根県の家を私が相続することになりました。
しかし、家を相続したものの扱いに困っておりまして……。壊すにもお金がかかりますし、なにか手立てはないかと地元自治体に問い合わせたところ、『空き家処分の支援は難しいですが、移住はどうですか?』と提案されたんです。
『空き家リフォームも補助金が出ます』『移住支援金はこれくらい出ます』と事細かに説明してくれました。
私は個人事業主なのですが、東京で仕事があることを話すと『じつはテレワーク支援金も毎月出るんですよ』といったことまで、丁寧に教えてくれました」
コロナ禍において、東京都からの転出者数が増加したことが話題になった。その背後で、地方自治体の “移住者争奪戦” が繰り広げられている――。
( SmartFLASH )