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北朝鮮、コロナ大流行で広がる民間療法「よもぎ」「ショウガ湯」「塩水」…日本はワクチン供与も検討

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2022.05.17 16:35 最終更新日:2022.08.16 19:47

北朝鮮、コロナ大流行で広がる民間療法「よもぎ」「ショウガ湯」「塩水」…日本はワクチン供与も検討

薬局を視察する金総書記(写真:KNS/KCNA/AFP/アフロ)

 

 北朝鮮新型コロナウイルス感染拡大が止まらない。

 

 朝鮮労働党機関紙によれば、5月16日午後6時までの24時間で、新たに発熱が確認されたのは26万9510人、死者は6人。4月末からの発熱者は148万人超で、死者は56人となった。

 

 この緊急事態に、金正恩総書記もイライラを隠せない。

 

 

 15日、朝鮮労働党政治局の会議に出席した金正恩氏は、治療体制の不備を批判。薬局の24時間運営、備蓄医薬品の放出を指示したにもかかわらず、医薬品が届いていないことを指摘した。

 

 会議後には平壌の薬局を視察し、「陳列場所以外に薬の保管場所もない劣悪な状態だ。販売員の衛生服も整っておらず、基準に到達していない」と、公衆衛生当局を痛烈に批判した。

 

 これだけの状況にありながら、北朝鮮はワクチン提供を頑なに拒否している。

 

 新型コロナウイルスの感染拡大以降、北朝鮮がとった対応は徹底した国境封鎖だった。2021年には、国際ワクチン供給プロジェクト「COVAX」からのワクチン供給を2度にわたり拒絶している。

 

 今回の感染拡大で、韓国の尹錫悦大統領はワクチンや医薬品を支援する意向を表明しているが、「北朝鮮が受け入れることはない」と、「コリア・レポート」編集長の辺真一氏は断言する。

 

「北に融和的だった文在寅政権からさえ、コメ一粒たりとも支援を受けなかった北朝鮮が、保守的な新政権から支援を受けることはありません。

 

 また、ここでワクチンを受け入れれば、これまで国境封鎖で新型コロナの感染拡大に成功してきたとしているのが間違いだったと認めることになる」

 

 13日には、日本でも北朝鮮へのワクチン供与について「政府内に検討の動き」があると一部メディアが報道。しかし、その後、具体的な議論や動きは見られない。

 

 SNSでも、

 

《北朝鮮にワクチン供与するとかしないとかって話し、ミサイル撃ってるから日本は屈服したって思われるよ、絶対やっちゃダメだよ》

 

《ミサイルを撃って日本の安全を脅かす、日本人を拉致して解決も謝罪もない、そんな害国を助ける必要がどこにある?》

 

 と反発する声は多い。

 

 そんななか、15日夜には、「新型コロナ対策」とみられる特別番組が、朝鮮中央テレビで放送された。番組に登場したのは、コロナから回復したという人たち。

 

「部屋をアルコール消毒して、ヨモギを燃やして換気をしたら大丈夫になりました」
「ショウガ湯や熱いお湯を飲んで、塩水のうがいを続けたらすべて治まりました」

 

 などと、民間療法で治ったというインタビューが紹介された。

 

「ヨモギやショウガ湯は、朝鮮でも昔から健康にいいとされてきました。私も子供のころはよく母親に言われてヨモギを摘みに行ったものです。塩水も昔から伝わる療法です」(辺氏)

 

 確かに、日本でもヨモギやショウガ湯は健康にいいとされているが……。ワクチンなしで、民間療法や漢方薬だけで新型コロナを乗り切ろうとしている北朝鮮。今後のカギは “死者数” にあるという。

 

「北朝鮮の発熱者数は多いですが、死亡者数は意外と少ない。これなら十分に乗り切れると、金正恩は踏んでいるのでしょう。感染者数が減った段階で勝利宣言を出す、というストーリーです。

 

 1990年代に飢餓で人口の10%を失ったときでさえ、指導者が平然としていた国ですから、この程度は大したことがないと考えているのでしょう」(辺氏)

 

 ワクチンなしのノーガード戦法は、はたして通じるのかーー。

 

( SmartFLASH )

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