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バイデン大統領にあわせて飛来「終末の日の航空機」何がすごいのか…ロシアも戦勝記念日にデモンストレーション
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2022.05.24 17:51 最終更新日:2022.05.24 17:52
5月22日、バイデン大統領が就任後初となる訪日を果たした。すでに岸田首相との日米首脳会談をおこなっている。
「今回、バイデン大統領がアジアを訪問した理由の一つに、アメリカのインド太平洋地域への影響力を明示し、日本と韓国との同盟関係や安全保障について確認する狙いがあると考えられます。
実際、5月23日の日米首脳会談では、アメリカの核戦力を背景にした “核の傘” を含む『拡大抑止』を維持・強化する方針が掲げられました」(政治部記者)
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ウクライナ問題をはじめ、世界情勢には強い緊迫感が漂っている。実は、そうした時代を暗示するような飛行機が、バイデン大統領の来日に合わせ飛来したという。E-4B、通称「ナイトウォッチ」と呼ばれる航空機だ。
軍事ジャーナリストの菊池雅之氏が解説する。
「E4Bは、基本的に大統領と行動をともにする、核戦争時の指揮に特化した航空機です。現在は沖縄で待機しています。
東西冷戦のとき、一度核ミサイルが発射されたら、核の応戦になり、地上が完全に壊滅してしまう恐れがありました。万一そうなった場合を想定し、大統領と主要幹部が空の上から指揮を執れるようにしたんです。
それで開発されたのが、このE-4Bです。『終末の日の航空機』などと呼ばれますが、この『終末の日』とは核戦争によって世界が荒廃したとき、といった意味です。
万一どこかの国が核を撃ち始めたら、大統領はこの飛行機に乗るわけです。核の衝撃で電磁パルスが発生し、電話や通信機器が使えなくなると考えられていますが、この飛行機には電磁パルスシールドがつけられており、指揮系統が崩れないようになっています。
地上の核兵器基地や陸海空軍の基地と連絡が取れるのはもちろん、潜水艦とも通信可能です。潜水艦には核が搭載してあるので、そこにも通じる必要があるんです。
機内の様子が公開されているのですが、各所との連絡のため、大量のパソコンが並んでいる部屋が確認できました。
機体は、旅客機としてお馴染みのボーイング747を軍用に改造したものです。もともと航続距離の長い機体に、空中給油、つまり着陸しなくても給油できる仕様にしたことで、さらに長時間のフライトが可能になりました。
とはいえ、無限に飛び続けられるわけではありません。
航空機は、飛び続けるとどうしてもエンジンオイルが切れてしまいます。オイルの補給は空中ではできないので、航続の限界はオイルが切れるまで。最大で72時間ほど飛び続けられると考えられています。
このフライト時間は軍用機のなかでは非常に長いのですが、そもそもボーイング747の性能が非常によい。ボーイング747を米軍が気に入り、この『終末の日の航空機』に採用したのがすごいんです」
E-4B自体は、大統領の渡航時に毎回飛来しているという。だが、奇しくも5月9日には、ロシア版「終末の日の航空機」である「イリューシン80」が、戦勝記念日のデモンストレーションとしてモスクワ上空を飛行している。
「終末の日の航空機」が、実際に使われる日が来ないことを祈りたい。
写真・米空軍/Staff Sgt. Nicole Leidholm
( SmartFLASH )