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かっぱ寿司50店舗閉鎖…回転寿司業界「頭打ち状態」の理由
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2014.07.09 15:00 最終更新日:2016.02.26 03:56
回転寿司業界3位の「かっぱ寿司」が、今年2期連続で連結最終赤字を出すなど不振が続き、同5位の「元気寿司」と経営統合を前提に業務提携すると発表。不採算店舗を50店あまり閉鎖した。統合後の売上高は約1200億円となり、業界トップの「スシロー」の1193億円を抜くことが予想される。
回転寿司業界は、いまビジネスモデルの大転換期にきていると指摘するのは『回転寿司の経営学』(東洋経済新報社)の著書もある回転寿司評論家の米川伸生氏だ。
「世界的な需要の増加で魚の原価は上がっていますから、薄利多売で利益を維持する回転寿司のビジネスモデルは成り立たなくなってきています。特に、一皿100円の激安チェーンは価格転嫁ができず、自ら設定した価格に自縄自縛になっている。スシローが一皿180円の商品や『倍トロ一貫100円』などを出しましたが、知名度のある店が赤字覚悟のキャンペーンをするというのは、私の想像ですが『それほど客足の戻りが悪いのかな』と勘繰ってしまいます」
いまはどの社も「我慢くらべ」の様相で、「どこかの社の経営が傾けばすぐに買収を仕掛けようと、お互いに虎視眈々」だと米川氏は語る。
昨年、大手ホテルや高級レストランで相次ぎ発覚した食品偽装問題。あるホテルでは「バナメイエビ」を芝エビと、別の高級ホテルでは普通の野菜を「オーガニック野菜」と偽って販売していた。では、回転寿司業界はどうなのだろう。’07年に大手回転寿司チェーン店のネタの多くが偽装魚、または代用魚であることを告発したジャーナリストの吾妻博勝氏によると、当時とは事態は変わっているようだ。
「ある大手チェーンは1億2000万円をかけ、店内のメニュー表示を作り直したといいます。食品偽装が問題になり、かつては隠していた実名を表示せざるをえなくなってきたのです。それでも、多くの深海魚がネタとして使われています。静岡県に深海魚を専門店に卸す会社があって、深海魚の『ソコダラ』の仲間が脂の乗った白身魚として寿司ネタになっているんです」
「ヒラメのえんがわ」を単に「えんがわ」と変更し、取り繕おうとする店もあるが、かつてはナマズや深海魚で代用されていたタイやヒラメは、現在はその名前では提供できなくなった。
「食べておいしいのだから、きちんと名前を明らかにするのはいい風潮です。貴重な水産資源の利用にもなりますから。しかし、地元の回転寿司店ではその呼び名でメニューに載っていても、都会では、奇怪な名前の深海魚なんて気味悪がって誰も注文しません」(吾妻氏)
このため、とくに白身魚は、回転寿司のレーンを流れることが少なくなったという。ラーメンや豚丼などサイドメニューが増えているのも、このためだという。“近い将来、業界再編は必ず起きる”とは、今回取材した関係者に共通の意見だ。
(週刊FLASH 2014年7月22日号)