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「丸刈り強制裁判」生徒の訴え棄却で “学校の理不尽” めぐり論争「悪しき風習やめるべき」「合わないなら去ればいい」
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2022.05.31 17:00 最終更新日:2022.05.31 17:00
部活動での丸刈りの強制などが原因で退学を余儀なくされたとして、熊本県立済々黌高校の元生徒が熊本県を訴えた裁判で、熊本地裁は5月30日、元生徒の請求を棄却する判決を言い渡した。
2017年に同校に入学した元生徒の男性は、入学直後、ソフトテニス部で丸刈りにされ、応援団から屋上で校歌を歌うことを強制されたと主張。うつ状態となって退学せざるをえなかったと、2019年に提訴している。
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上級生からの指導は生徒の間で「シメ」と呼ばれ、元生徒は「学校がシメを認識したうえで適切な措置をおこなわなかった」などとして、熊本県に対し慰謝料として「1円」の損害賠償を求めていた。
「同校は甲子園出場経験もある、県内でも有名な進学校です。古風な伝統を持つことで知られています。ネットでは、“厳しい伝統は時代に即していない” という主張がある一方で、“選んだ生徒にも責任がある” とも。判決に対しては賛否の声が上がっています」(地方紙記者)
実際、SNSにはさまざまな声が並んでいる。
《好きな髪型で生活すればいい。結局次の進路に向けてつながればいいんだから。伝統という名の悪しき風習はよくないよ》
《それぞれの高校には歴史と伝統があると思います。合わない生徒はその学校を選ぶべきではない、合わなければ学校を去ればいいだけだと思います。一人の生徒に学校が合わせるに必要はないと思います》
《学校なんて学問をするところであるが、世の中に出る前の準備運動をするところでもある。年功序列や縦社会、理不尽な事は起こるものだと経験すべき》
「なかには『1円』という損害賠償が軽く見られたのでは? という意見もありますが、これはお門違いでしょう。『1円裁判』とは、賠償金が目的ではなく、“間違っていることを間違っていると認めてほしい” という気持ちから来るのが通例です。
国内外を問わず、『1円裁判』や『1ドル裁判』は、原告が “理不尽” を感じたときに、組織を相手に起こすことが多い」(裁判ジャーナリスト)
熊本地裁の中辻雄一朗裁判長は、校歌指導は「体調面など配慮するよう事前準備をおこない、教員も指導の様子を見守っていた」とし、丸刈りについても「生徒は入部前に丸刈りにすることを知っていた。部の顧問は自主性の範囲内でするよう指導していた」などとして、原告の請求を退けている。
( SmartFLASH )