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「パンクした自転車」「サドルのない自転車」あなたはどっち?渋谷センター街で“投票型喫煙”を体験!

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2022.06.04 06:00 最終更新日:2022.06.04 06:00

「パンクした自転車」「サドルのない自転車」あなたはどっち?渋谷センター街で“投票型喫煙”を体験!

 

 5月21日から、渋谷駅前センター街に、週末限定で設置されている喫煙所がある。その名も「投票型喫煙所」。カラフルなポストのような箱が灰皿になっているのだが、透明で中身が見え、左右に二分割されている。

 

 この喫煙所はいったい……。愛煙家の写写丸が体験してきた。

 

■仲間と盛り上がる喫煙所で一服 カラフルでポップな灰皿も大好評

 

 週末お昼のセンター街、人通りは多いが、路地裏に一本入ると急に人気がなくなる。「投票型喫煙所」は、渋谷駅徒歩5分の路地の中にあった。通りには「ポイ捨て投票所」と看板が。天気は快晴、まさに喫煙日和だ。

 

 

 看板の矢印通りに路地を入っていくと、そこにはカラフルな直方体が5つ並んで目を引く。これが噂の「投票型喫煙所」か。

 

 さらには同じくカラフルな看板に“喫煙の作法”まで掲示されており、町への配慮が行き届いている。灰皿に目をやるとそこにはお題とA・Bに分かれた解答欄が。なるほど、灰皿ごとにお題があって、それぞれ2択になっている。喫煙者は、自分の好きなお題を選んで“投票”できるシステムになっていた。

 

「何この可愛いやつ、投票型喫煙所? え、すげえ!」

 

 そこにやってきたのは、20代前半と思しき男女5人。彼らも投票型喫煙所にひかれてやってきたらしい。

 

「何これ、『自転車で家に帰るなら、どっちがいいですか?』、『A:パンクしている自転車』『B:サドルのない自転車』だって」

 

「絶対サドルは必要だろ」「いや、でもパンクしてる自転車じゃ一生家帰れないだろ」

 

 やんややんやと、若者たちの会話が盛り上がっている。これが「投票型喫煙所」のチカラか。意外なのは彼らの中には非喫煙者も含まれているらしいという点だ。これなら、タバコを吸わない仲間だって会話の輪に入って盛り上がれるというわけだ。若者たちは丁寧にタバコの火を消して、各々“投票”を済ませて帰っていった。

 

 5つある“投票口”の中でもことさら目を引くのは、真ん中の黄色の灰皿だ。12時前後だというにも関わらず、大量の“投票”がなされ、その結果が明確に2分されているのだ。質問欄を見ると、そこにあったのは「喫煙所が増えると、ポイ捨ては減ると思いますか?」との文言。

 

 もちろん、「YES」の方に“投票”が殺到している。写写丸も一服を終えると、この黄色のポストの「YES」にそっと吸殻を捨てた。こんな喫煙所が増えれば、町もきっときれいになるだろうな、と思いながら――。

 

■「喫煙所を綺麗に使うことで、街全体が綺麗になる」たばこから始めるまちづくり

 

 この「投票型喫煙所」を運営する株式会社コソド代表取締役CEOの山下悟郎さんが、話を聞かせてくれた。

 

「そもそも、弊社では『ポイ捨て図鑑プロジェクト』という、町中に落ちているタバコの吸殻の位置情報をマッピングする投稿キャンペーンを展開していたんです。そうすると、必然的に吸殻が集中する地帯がわかるじゃないですか。それで、ポイントをしぼって喫煙所を設置したいという考えに至りました。でも単なる喫煙所だと面白くないとなりまして。

 

 そこで、喫煙者が面白がって捨ててくれそうなものを、とこの『投票型喫煙所』を考案したんです。実はこの『投票型喫煙所』は、海外ではもうすでに進んでいる取り組みなんです」

 

 この取り組み、実際評判はいかほどなのだろうか。山下さんは表情を綻ばせて語った。

 

「おかげさまで大変好評をいただきまして。行政の方からもたくさん問い合わせをいただいている状況です。

 

 我々も驚いたのは、非喫煙者の方からも好評をいただいているということです。また、吸殻以外のゴミも10ぶんの1になったと聞いています。相乗効果で、センター街全体が綺麗になっているというのは、全くの想定外でした」

 

 綺麗な喫煙所を作ることが、綺麗な街になるということなのか。山下さんは、“投票箱”に載っている5つの質問の狙いについても語ってくれた。

 

「設置されている5つの灰皿についている質問ですが、まず、明確に意見が偏るものはやめようということになりました。その代わり、気軽な会話の話題になり得るような、ライトな質問にしています。

 

 また、この灰皿も明るくポップなものにしようと、カラーリングを考えました。設置されている場所は、夜になると暗くなるし、L字路の中にあるので目立ちにくい。遠くからでも気になって目立つようにと、この色味にしています」

 

 山下さんによれば、終了時期は未定で、当面の間実施予定とのこと。今後は行政との連携も含めて、この取り組みを拡大していきたい、と意気込みをのぞかせた。

 

 あなたの街に「投票型喫煙所」ができる日も、そう遠くないかもしれない。

 

( SmartFLASH )

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