「100人から1000人の子供をもうける計画だ。世界のために私ができる最善のことは、たくさん子供を残すことだ」
24歳の日本人男性A氏が、少なくともタイ国内で11人の女性に16人もの子供を代理出産させていた問題。A氏は出産に関わった人物に対し、冒頭のように語っていたという。そもそも、この問題が発覚したのは8月5日のことだ。
「オーストラリアの代理出産コーディネーターが、契約満了直後に再契約を申し出たA氏を不審に思ったことがきっかけです。A氏のバンコクのコンドミニアムの住所を通報したところ、そこでベビーシッターと暮らす9人の乳幼児が保護されました」(社会部記者)
A氏は体外受精で自分の子供を代理出産したタイ人女性に、ひとりあたり約100万円の報酬を払っていた。また、タイ国外でも自分の子供を代理出産させており、前出の16人を含めると、20人以上の子供がいると見られている。多額の出産の費用と養育費を捻出できたのには、理由がある。
「じつはA氏の父は東証一部上場企業の創業者なのです。タイ警察の発表した名前、タイのコンドミニアムの契約書にある香港の住所が、この企業の株式の大量保有報告書に載っている人物の名前と住所と一致しています」(同前)
創業者である父親はかつてITバブルの寵児ともてはやされた人物。父親が社長時代、この企業が不祥事で経営危機に陥り、ITバブル崩壊の一因となった。だが、現在は業績も持ち直し、堅調な成長を続けている。同社の広報担当者にA氏について尋ねると、「当社の事業活動の範囲外のことですので、コメントは差し控えさせていただきます」との回答があった。
ネットに会社名が出たからか、株価は一時急落したものの、その後反発。A氏が父親から譲り受けた個人名義の同社株の時価総額は約50億円にものぼる。またA氏が取締役を務める会社も約80億円ぶんもの株を保有しており、A氏は実質的に約130億円もの資産を管理する立場にあった。
「毎年、10人から15人の子供が欲しい」と語っていたA氏。彼の資産ならば、十分可能なことだった。代理出産の目的を、A氏のタイ人の法律顧問は「資産を引き継ぐ後継者を得るため」と説明した。今回の代理出産は税金逃れのためという指摘がある。だが、海外の富裕者層を顧客とする資産コーディネーターはこう首をかしげる。
「相続人が外国籍や海外居住者であっても、国内資産なら日本の相続税や贈与税が適用されます。A氏が日本人で資産が国内にあるのなら、外国籍の相続人がいることで、なんらかの節税になることはありません」
生まれてきた命に罪はない。A氏の子供たちが、幸せな環境で成長することを、願ってやまない。
(週刊FLASH 2014年9月2日号)