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日大のドン・田中英寿氏 林真理子氏を迎えた新体制に“恨み節”…「やってみれば苦労わかる、大学なんて儲からない」

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2022.06.15 06:00 最終更新日:2022.06.15 06:00

日大のドン・田中英寿氏 林真理子氏を迎えた新体制に“恨み節”…「やってみれば苦労わかる、大学なんて儲からない」

「俺はもう関係ないんだから」と語る日大のドン

 

「彼女は素晴らしい人ですよ。OGだしね。そのほうが理事長にはいいんだよ」

 

 6月上旬、杉並区の自宅から出てきたのは、所得税法違反で有罪が確定した日本大学前理事長の田中英寿氏(75)だ。作家で、日大藝術学部OGの林真理子氏(68)が次期理事長に内定したことについて感想を求めると、冒頭のように答えたが、その心中は穏やかではないようで……。

 

 

 日大は、12万人もの学生や生徒を抱え、事業規模は2500億円に上る巨大組織。田中氏は13年にわたり、トップに君臨した自負を持っていた。

 

ーー巨大な日大を運営するのは大変ですか?

 

「やってみれば、その苦労はわかるでしょう。だいたい、大学なんてどうすれば儲かるの? 少子化だし、学生なんか集まらないよ。入試の倍率だってカツカツだし、入学したら中退者も出るから実質定員割れも。でも教授のクビは切ったら不満が出る。だから事業部を作ったんだよ」

 

 田中氏が言う「事業部」とは、「株式会社日本大学事業部」のこと。学内の保険や広告、学生生活に関わるあらゆる業務を一手に引き受けていた会社で、日大附属板橋病院の建て替えをめぐり背任容疑で逮捕された元理事の井ノ口忠男被告(65・係争中)が取締役だった。

 

 自身が創設した「日大事業部」だが、新体制で清算されることが決定している。田中氏の「日大の遺産」への並々ならぬ思いは止まらなかった。

 

「この事業部が悪いみたいなことをいわれているが、俺は事業部を作って無駄な経費を省いたんだ。悪いことをしたやつがいたって、毎年儲かっていた。逆にそうでもしないと、大学なんて儲からないよ」

 

 そう恨み節を漏らすと、「俺は今から買い物に行くんだから」と言い、近くのスーパーで弁当と惣菜を購入し、バスに乗り込んだ。かつては迎えの車が来て、お付きの職員らがガードするのが当然だった“ドン”の背中は寂しかった。

 

 対する林真理子氏は、就任内定会見で田中前理事長の脱税事件について「どうしてこんなことをしたのか不思議でたまらない」と批判している。

 

 相容れないようにみえる新旧の理事長だが、2人を繋ぐ意外な大物政治家がいるという。ある日大関係者が話す。

 

「林氏を理事長に推したのは、森喜朗元首相ではないかという声があるんです。もともと田中氏の悲願は、相撲を五輪競技にすることだった。そのため、田中氏は1994年にJOC理事に就任していますが、そのときの自民党幹事長が森さんでした。もちろん、JOCにも当時から大きな影響力を持っていましたよ。

 

 一方で林さんは森さんの奥さんと親交があり、森さんのたび重なる失言も一貫して擁護派でした。その縁もあり、東京五輪では組織委員会のマーケティング関連の委員や、聖火ランナーまで買って出たんです」

 

 7月1日から新理事長に就任予定の林氏だが、自らが掲げた「マッチョな体制からの脱却」には懐疑的な声もーー。

 

「相撲部や田中氏の肝入りで作った危機管理学部など、日大には田中体制の利権がかなり残っている。一度溜まった膿を出し切るのは簡単ではありません」(別の日大関係者)

 

 直撃に応える田中氏の目は「日大の“ドン”をやれるもんならやってみろ」と言っているようにもみえたーー。

 

( 週刊FLASH 2022年6月28日号 )

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