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「TikTok」で中高生にまで伝播する「身長-体重」スペック 風俗業界が発祥も現役ソープ嬢は「より大事な要素が」
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2022.06.27 20:10 最終更新日:2022.06.27 20:15
《身長-体重=110が標準体型らしい》
ダンスアプリ「TikTok」で、こんな文言を見ることがある。そのほかにも 《スペ110》という単語を見かけることも、しばしばだ。
「『スペ』というのは『スペック』という単語の簡略化した呼び方です」
こう話すのは、 いわゆる“パパ活女子”のA子さん(20代)だ。彼女が続ける。
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「身長から体重を引いた数値のことを言うんです。私だと身長158cm、体重43kgなのでスペック115になります」
身長、体重から算出する体型の数値といえば「BMI」がある。18.5~25の間が標準体型とされているが、同じ「スペック110」でもBMIで見てみると、身長160cm、体重50kgの場合は19.53と標準体型なのに対し、身長150cm、体重40kgでは17.78と痩せすぎ(低体重)に分類されてしまう。
こうした例のとおり「身長-体重」で、一概に体型を評価できるとは思えないが……。
「スペックがパパ活に浸透し始めたのは、ここ最近だと思います。1年くらい前からですかね。
実際に会う前のやり取りで、スペックを聞かれて『これくらいの金額をどう?』と、事前交渉される場合も多いです」(前出・A子さん)
スペックが高ければ「高スペ」、低ければ「低スペ」というような言い方が、風俗関係者界隈でスラングのように使われ、SNS上では身のまわりの同業者に対して、この言葉を用いた“煽り”まで起きているという。風俗関係者がその背景を話す。
「前々から風俗業界ではその文化があって、そもそもスペック次第で面接が受けられなかったりするんです。
交際クラブではスペック105以上じゃないと登録できないとか、風俗店ではスペックによって在籍できる店舗のランクが変わってくる、ということもあります。今は“夜のお仕事”をする女性も増えてきて、顔だけでなく体型にも厳しくなってきているんですよね」
まさしく風俗業界では、「タイム is マネー」ならぬ「体重 is マネー」の世界になりつつあるという。
しかし、実際に働いている側からは、スペックだけをすべてと考えるべきではないという声が上がった。
吉原高級店の現役ソープ嬢で、Twitterアカウント「梅毒さん(@ume_poison0)」はこう話す。
「ソープランドであろうと、パパ活であろうと、お客様を楽しませることには違いないので、高スペックよりも大事な要素は、むしろ、相手が望んでいることを理解する力と思いやる気持ちです。
それができる女の子は『写真やプロフィールと多少、違う体型の女の子が出てきた』としても、お客様が嫌な思いをすることは少ないと思います。
個人的な感想ですが、ぽっちゃり店などのグラマラスな体型が好まれるジャンル以外のお店の子は、標準的な体型が望まれることが当たり前ですから、高スペックだからといって『自分は価値がある』と誇るものでもない気がしますが……」
しかし冒頭のように、若者が多く利用する「TikTok」でこうした価値観の言葉が頻繁に用いられ、多くの動画が投稿されている。
中には、風俗業界で使われている背景をを知る由もないであろう中高生による動画や、娘と撮影した親子の動画にも「身長-体重=110」という文言が見受けられるのだ。
多様性の時代に、体型を一方的に押しつけるようなフレーズが、SNSを通じて若者たちに伝播していくのは、いかがなものか。
( SmartFLASH )