社会・政治
ベトナムはアジア有数の児童ポルノ犯罪大国だった
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2017.04.25 16:00 最終更新日:2017.04.25 16:00
千葉県の小学校に通う9歳のベトナム人少女が誘拐・殺害された事件は、本国のベトナムでも大きく報道されている。筆者はたまたまベトナムを訪問していたが、小学校の父兄会の会長が逮捕されたニュースが流れると、テレビのみならずネット上での過熱ぶりは前代未聞となった。
在ベトナム駐在の日本大使が被害者の父親を訪ね、陳謝と慰問を行ったニュースは繰り返し流された。深々と頭を下げる日本の大使や大使館員を自宅の階段の上から見下ろす父親の姿はベトナム国民の脳裏に焼き付いたようだ。
とはいえ、現地メディアの報道やネット上の反応は、概ね日本に好意的なものであった。曰く「さすが日本は礼節を重んじる国だ」「日本政府の対応は思慮深いもので、責任ある言動には頭が下がる」といった調子だ。
確かに憎むべき犯罪ではあるが、監視カメラの解析やDNA鑑定の結果、犯人を特定し、素早く逮捕にいたった過程は、「ベトナムではあり得ない」として、治安関係者の間でもマスコミでも話題となっている。
というのも、今回の事件が発生した同じ頃、ベトナムでも同様な少女誘拐・殺人事件が連続していたが、いずれも犯人の逮捕には至っていないからだ。ちなみに、ベトナムには信号や街路灯の数が少なく、監視カメラもほとんど設置されていない。
実はベトナムはアジアの中でも児童ポルノや児童買春が盛んな国に数えられている。ホーチミンなど大都市のいたるところで、ポルノゲーム機が若者を引き付けているし、外国人目当ての若い売春婦も目に付く。
依然として貧しい社会でもあり、ベトナムでは児童虐待に近い「児童労働」が一般的となっている。全犯罪に占める性犯罪の比率も高く、10歳前後の児童がからむ事件が非常に多い。
警察の統計によれば、過去5年間だけで1万人を超える児童虐待が報告され、そのうち65%にあたる6000件が性的虐待である。2015年のデータを見ると、児童への性的虐待で1400人が逮捕されている。驚くべきことに、犯人の大半は被害者の両親の知り合いや近所の住人とのこと。
犯罪のキッカケは、親や知り合いが子供の画像をSNSにアップしたことが多いという。「かわいい」からと、安易に子供の写真を公開するのは避けた方がよさそうだ。 (国際政治経済学者・浜田和幸)