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池上彰も驚いた「北朝鮮の首都・平壌」は巨大な映画セット
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2017.04.26 06:00 最終更新日:2017.04.26 06:00
平壌の新しい高層住宅街「黎明通り」が竣工――。4月13日、北朝鮮が海外メディアに公開した映像は、首都・平壌の発展ぶりを世界に向けてアピールした。
だが、「Google Earth」が写した衛星写真を見ると、表通りから見える部分だけが立派で奥行きのない、まるで大道具のような「舞台裏」が一目瞭然だ。これは「統一通り」という市内の別の場所を撮影したものだが、平壌ではこうした「作りもの」は珍しくない。
平壌を訪問したことのある、ジャーナリストの池上彰氏が自らの体験を語る。
「平壌に住めるのは、核心階層というエリートだけ。食料の配給も十分あります。しかし高層ビルは、私たちが訪問したときだけエレベーターを動かしていました。その証拠に、住民たちは20階以上に住んでいる人たちですら、階段で昇り降りしていたのです。我々のために特別にエレベーターを動かしている、ということに気づかなかったんですね。
平壌にはデパートもあり、商品が並んでいますが、実際には品不足で買い物はできません。でも『豊富な商品を扱っている』というシーンを作り出し、それを海外メディアに取材させています。
いわば平壌は、巨大な映画セット。そこに暮らす住民は外国人に対して、つねに映画の『出演者』として振る舞わなければならないのです」
さらに、4月15日におこなわれた金日成国家主席生誕105周年を祝賀する軍事パレードでは、新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)が登場して軍事力を誇示した。だが、これも本物かどうか疑わしいと、軍事ジャーナリストの世良光弘氏が指摘する。
「ロシアのICBM『トーポリM』を模倣したようなミサイルでしたが、これがいかにも怪しい。本物なら、発射後に先端の円錐形の部分が外れて分離するため、胴体部分との継ぎ目に大きな溝があるはずです。
しかし、そういったものは確認できませんでした。また移動式ミサイルなら、暴発に備えて発射台に消火設備が備えつけてありますが、それもありません。実戦には使えない『ハリボテ』だと思います」
また、パレードで特殊部隊隊員が携行していた自動小銃にも、世良氏は疑問を呈する。
「従来はロシアのカラシニコフの改良型でしたが、今回の銃はその形状から、アメリカが開発中の『XM29 OICW』に似ています。しかしこのタイプの銃は、アメリカでさえまだ実用化されていません。北朝鮮が独自開発するのは無理。ゴム製でメッキだけ施した模型の可能性があります」
ハリボテ国家の真実はどこにあるのか――?
(週刊FLASH 2017年5月9日、16日号)