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【参院選】各社の情勢予測「前回衆院選で大外れ」&「選挙報道減少」の理由を専門家に聞いた

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2022.07.05 13:15 最終更新日:2022.07.05 13:24

【参院選】各社の情勢予測「前回衆院選で大外れ」&「選挙報道減少」の理由を専門家に聞いた

6月21日には、参院選の公示日を前に9党の党首による党首討論会がおこなわれた(写真・アフロ)

 

 7月10日に投票日を迎える参院選。各テレビ局は、投票が締め切られると同時に、各党がどれだけの議席を獲得するかを予測した数字を放送するのが恒例だ。

 

 だが、2021年秋の衆院選では、各テレビ局が予測した数字と、実際に各党が獲得した議席が大きく異なる「乖離」が生じた。たとえばNHKの数字を見ると、自民党の獲得議席を「212~253」と予測したにもかかわらず、結果は261。一方、立憲民主党は「99~141」と予測されていたが、結果は96。

 

 

 ほかの局も、おおむね自民党が過半数(233)ぎりぎりと予測したが、過半数を大きく上回る結果となり、話題となった。

 

 今回の参院選では、同じような乖離が生じるのか。政治ジャーナリストの角谷浩一氏に聞いた。

 

――そもそも、2021年秋の衆院選ではなぜ「乖離」が生じたのか?

 

「誤算は各局とも、コロナ禍の影響を読み違えたことにあります。いずれの局も、独自調査した数字をもとに『判定会議』をやります。コロナ禍で飲食店が疲弊していて、自民党に厳しい数字が出るのではないか、といった要素を加味して、予測数字を出すわけです。率直なデータを出すだけだと、自分たちの役割がなくなってしまいますから(笑)、この『判定会議』で、少しデータをこねくって、予測数字を出すのですが、それが外れてしまったわけです」

 

――今回の参院選では、各新聞の情勢調査では、自公で改選過半数、自公・維新・国民民主という、改憲に前向きな4党で3分の2、という予測が出ている。外れる可能性は?

 

「今回は、新型コロナウイルスの影響が少し収まったことと、世論調査で岸田文雄首相への支持率が高いということがあるので、あまりデータをこねくり回す要素がないんです。各局の予測が割れる要因があるとすれば、激戦を繰り広げている1人区をどう予測するかでしょう。ただ、そのほかの要素は順当なので、各新聞社、各テレビ局が予測した数字と結果の開きは出ないと私は見ています」

 

――そもそも参院選は予測しやすい面もある?

 

「複数区と比例区は、それほど予測と結果が離れないんです。今回も終盤に野党の追い上げがあるといわれているので、多少の番くるわせはあるでしょうが、基本的には順当。影響があるとすれば、投票率が各段に上がるケースですが、各テレビ局がそれほど選挙報道をしなくなった今では、それもないでしょう」

 

――なぜ、テレビは選挙報道をしなくなったのか?

 

「いま参院選がおこなわれているのかもわからないほど、テレビ各局は、ワイドショーなどでも選挙を報じなくなっています。それなのに、投票日の20時になったら一気に、各候補者の当確を出すわけです。テレビ各局が、自分たちで情報を抱え込んでいることになるわけで、それがいいのか、という問題はあります。結果的に、投票率が上がるわけがありません。

 

 これは自民党が何年も前から、『公平で中立な報道をしろ』と申し入れをしていて、テレビ局が萎縮して『だったらもう報道しません』となった結果です。テレビ局には、放送法の『政治的に公平であること』という制約があり、新聞や雑誌とは扱いが違う面はありますが、今回の参院選は、とくに報道量が少ない印象です」

 

――テレビ東京が、池上彰氏による投票日前日特番を放送することが話題となっている。

 

「池上彰さんが政治家にどんどん厳しい質問をするのは、選挙前に放送することに意味があります。テレビでいっさい選挙報道をやらなくなったことに対する、反省があるのでしょう。自民党の“恫喝”がどういう結果を生んでいるのか、考える必要があるのでは」

 

 今回の参院選は、「これが終わったら3年間、国政選挙がない」ともいわれる大事な選挙。だが、「投票の判断基準となる情報がもっとほしい」という声も聞こえてくる。2019年参院選の投票率は48.80%で、過去2番めとなる低さだった。今回の参院選では、テレビ各局の議席予測とともに、投票率にも注目する必要がありそうだ。

 

( SmartFLASH )

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