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赤サンゴ密猟は隠れ蓑…中国漁船200隻「正体は海上民兵」
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2014.11.12 17:00 最終更新日:2016.02.25 18:03
小笠原諸島沖と伊豆諸島の鳥島、須美寿島周辺では、9月中旬から中国漁船が急増。10月30日には計212隻にまで達した。彼らの目的は、1キロ数百万円の高値で取引される赤サンゴの密漁と見られている。
海上保安庁は、これまでに排他的経済水域や領海で操業したとして漁業主権法違反容疑などで中国人船長5人を逮捕。だが、中国漁船は逮捕の危険を冒してまで、一攫千金を夢見て押し寄せている。
だが、その漁船の数の多さに、専門家からは「サンゴ密漁以外の目的」があるとの声も上がっている。東海大の山田吉彦教授(海洋政策)は「たんなる密漁とは考えにくい」として、次のように語る。
「サンゴは魚群探知機でわかるものではなく、このへんにあるという経験則で獲る。小笠原沖であれば台湾漁船が密漁をしていたので、そうした情報は中国側に渡っている可能性がある。しかし、須美寿島や鳥島周辺は日本の漁船すら最近は漁をしていない。どこにあるかがわからなければ、燃料代などを考えても採算が取れないのに、なぜ、多くの漁船がくるのか」
しかも、中国がやっているようなトロール網では、高値で取引されている大きな赤サンゴは割れてしまう。
「本当の密漁というのは、数隻でやってきてピンポイントで獲るのです。そうした状況から見ると、本当の狙いは、日本の海上保安体制の確認と攪乱ではないかと思います。計画的に多くの漁船が来ていることからすると、何者かが指揮していると考えられます」(山田教授)
また、軍事評論家の高井三郎氏もこう分析する。
「漁船には相当数の海上民兵が乗り込んでいる可能性が高い。おもな目的は海上保安庁と海上自衛隊に対する情報活動でしょう。威力偵察といい、力を誇示して日本の反応を見て、その能力を探知する。漁船に機材を積んでおり、指揮通信の周波数なども探知している」
「海上民兵は沿岸部にある人民武装部が直接、指揮統制している。今回、漁船が出港していると思われる福建省や浙江省には合わせて万単位の海上民兵がいるとみています。情報活動には国から行動手当が出ますから、漁船の燃料費の心配もいらないのではないか。今回のような大きな活動については、人民解放軍総参謀部の指令があるとみるのが自然で、それなりの中央の意図があっての行動でしょう」(高井氏)
5人を逮捕した横浜海上保安部は「船内の捜索の結果、無線などが傍受に使われているものかなどについては、捜査に関わり、申し上げられません」とコメントしている。
(週刊FLASH 2014年11月25日号)