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「箱を開けたら死んでいた…」犬70匹遺棄事件犯人が懺悔告白
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2014.11.22 07:00 最終更新日:2016.02.25 17:59
「栃木県で70匹あまりの犬を捨てたのは、私です。関連する業者の皆さんや愛犬家の方々には、本当にご迷惑をおかけました。申し訳ありません」
本誌の取材にそう謝罪の言葉を述べ、頭を垂れたのは、栃木県内の元ペットショップ店店員A氏(30代後半)だ。これまで関東圏のペットショップ数店を転々としていたが、現在は無職とのこと。
10月31日と11月5日、栃木県宇都宮市と那珂川町で相次いで発見された約70匹の犬の死骸。栃木県警は現在廃棄物処理法違反容疑で捜査中だが、A氏はすでに11日に宇都宮東署に自首していた。そのうえで「事実を知ってもらい謝罪したい」と、事件の顛末を話すことにしたという。
A氏が愛知県内のブリーダーから「ブリーダーをやめるから、犬を引き取ってほしい」と電話で依頼されたのは、10月20日ごろのこと。2歳から5歳くらいの成犬で、トイプードルやチワワなど7種、それぞれ10匹ずつほどいた。引き取る費用としてA氏は100万円を受け取ったという。
10月28日、A氏は2トントラックを借り、荷台に工事用パネルで犬用の箱を3箱作った。知り合いのペット業者らに連絡し、引き取った犬の里親や保護先を決めたうえで愛知に向かった。
「ところが愛知に行って犬を見たら、皮膚病にかかったり、やせ細った犬が何匹もいた。もともと杜撰な飼い方をするブリーダーで、私も何度か注意しましたが、改善されていなかった。でもそのまま犬を放置すると捨てられると思い、引き取ることにしたんです」
衰弱した70匹の犬を3箱に押し込んだら、余計に弱ってしまうはずだが……。「スペースがなく、天気もよかったし、空気穴を作り、ふたの板にスペースを開けていたので、半日なら大丈夫と思った」とA氏。だが、犬を引き取って5時間後、箱を覗いてみると、すでにすべての犬が死んでいたという。A氏はそのまま栃木県に戻ったが、自宅に戻らず向かった先は、鬼怒川河川敷だった。
「途中、ごみ焼却場に、とも思いましたが騒ぎになると思い断念した。業者で火葬すると250万〜300万円かかる。それなら土に返してやろうと思って河川敷に行ってしまった。今思えば処理する方法はいくらでもあったのに、パニックになっていました」
河川敷で40匹あまりを捨て、さらに那珂川町の山中で30匹あまりを捨てたという。
「箱から1匹ずつ取り出して放り出しました。あのときの臭いは忘れられない。呪われると思いました。俺は犬が好きなのに捨てた。いずれ問題になるだろうと思いました。罪は重いです」
逮捕を覚悟し自首したが、「裏付け捜査が必要」と言われ自宅に帰されたという。
「たぶん、11月中には逮捕されると思います。きちっとした処分を受けたうえで、捨てた犬(警察で冷凍保存中)は俺が火葬してやろうと思っています」
A氏は苦悩の表情を浮かべながらも、そう懺悔の言葉を発した。現在、群馬県や佐賀県などで同様の犬の放置事件が起きている。犬が悲惨な最期を迎える社会は、人間にとっても悲惨な社会だ。
(週刊FLASH 2014年12月2日号)