社会・政治
安倍元首相銃撃事件で懸念される「100人規模だった派閥の分裂」と「“模倣犯”が生まれる可能性」
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2022.07.12 06:00 最終更新日:2022.07.12 06:00
7月8日に起きた安倍晋三元首相の銃撃事件。発砲した山上徹也容疑者ははその場で取り押さえられ、逮捕された。
前代未聞の事件が起きた2日後に行われた参院選も終わったばかりーー。
しかしこの事件は、今後の政局にも大きな影響を与えることになる。領袖を失った安倍派は分裂する可能性さえあるという。長年にわたり安倍家を取材してきたジャーナリストの野上忠興氏はこう語る。
【関連記事:「大きな出来事が起きる」安倍元首相銃撃事件、ネットで騒がれる早朝の “意味深” 書き込み】
「100人近くの派閥を引き継ぐ長として誰がいるかというと、下村博文氏、西村康稔氏、萩生田光一氏……このクラスでは岸田氏は怖くない。福田達夫氏を中心とした中堅・若手が派を割って出ていく可能性もある。その意味で、最大派閥の最大の危機ともいえます」
現代の日本で白昼堂々のテロがおこなわれたことについて、日本近現代史研究家の辻田真佐憲氏が語る。
「これまで元首相が殺害された例は、伊藤博文と、二・二六事件の高橋是清と斎藤実の3人だけでした。安倍氏は憲政史上最長の総理大臣であり、安倍氏を支持するか否かで、右と左が分かれるようなリトマス試験紙のような存在でした。
たんなる“一首相”ではないという意味で、初代首相の伊藤博文暗殺に並ぶ日本史上の事件です。選挙では何も変わらないという無力感が社会に漂うと、暴力的手段で自らの主張を通そうという動きが現われます。1930年代と共通する閉塞感が、今の日本にもあるのかもしれません」
なにより怖いのは、こうしたテロが今後も続くことだ。
「模倣犯が生まれる可能性があります。五・一五事件と同様に、犯人をある種、理想化してしまう現象が生まれるかもしれません。それがとくに懸念されます」(辻田氏)
一人の命を奪った人物が英雄視されることは、あってはならないはずだ。