社会・政治
「トラブルなし」を訂正した旧統一教会 会見・声明から透けて見える「ごまかし」「隠蔽」体質を弁護士が批判
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2022.07.19 16:55 最終更新日:2022.09.21 16:03
7月17日、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)は、7月11日に開いた記者会見で、信者との間に「2009年以降はトラブルが起こっていない」とした発言について、「トラブルがゼロになったという意味ではない」とする、報道機関宛ての声明を出した。
田中富広会長が7月11日の記者会見で述べた「2009年以降はトラブルが起こっていない」との発言について、「コンプライアンス順守の結果が表れているという趣旨であり、ゼロになったという意味ではない。言葉不足で誤解を招いたことを率直におわびする」「2009年以降もごくわずかだが、そのようなケースがあるのは事実」と説明。一方、弁護士などに相談のあった案件をすべて「被害」と断定するのは、不正確だと主張した。
当初の発言を受け、7月12日、全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)は、「田中富広会長の会見はあまりにも事実に反する」として記者会見をおこない、「2009年以降も、旧統一教会による被害は続いている」と指摘していた。
旧統一教会が出した声明について、改めて全弁連代表世話人の山口広弁護士に見解を聞いた。
――「2009年以降もごくわずかだが、そのようなケースがあるのは事実」と、田中富広会長の7月11日の会見での発言を修正しているが、どう思いますか?
「事実に反することを会見で言ったと認めたのは、当然のことです。2009年以降も、教団の体質は変わっていない。韓国から献金指令が来て、それを何としても達成しないといけない、という本質的な力関係があります。信者の方々が本当にかわいそうだと思うのですが、『いつまでにいくら』という指令を守るため、どうしても強引なことをせざるをえない。法人としての態勢が変わらない限り、あらたまらないですよ。
2009年にコンプライアンス順守宣言を出して、行き過ぎをとめるように指示したと言っていますが、コンプライアンス順守宣言を出したのなら、それを社会的にオープンにすべきです。たしかに、機関誌には、当時の会長の『気を付けましょう』という趣旨の文書が流れました。でも、私たちが法廷で被告側の信者に尋問しても『知りません』というんです。その程度のコンプライアンスですよ。だから、何を言っているんだということですよ」
――全国弁連の弁護士や消費者センターが受けた旧統一教会に関する相談は、2009年から2021年でも3988件、被害額は176億円とされています。こうした被害額に関して、旧統一教会は声明で「不正確であり、水増しされています」としていますが、どうお考えですか?
「私どものところに来る相談は『これだけ出しているけど納得できない』とか『親が出しているけど納得できない』という相談を集計したものです。私どもからしたら、むしろ『氷山の一角』。被害額はもっと多い。教団は本当にしっかり調査してほしい」
――山上容疑者の母が、教団に1億円以上の献金をしていたと報じられて以降、旧統一教会は「2005年からの約10年間で計5000万円が(母親に)返金された」とのコメントを発表しています。母親の寄付総額について、田中富広会長は「20数年前の記録まで、調べきれないのが現状」と会見で説明していましたが、どうお考えですか?
「7月11日の田中会長の会見は、本当に事実に反していたと思います。まずい事実はできるだけ隠して、やり過ごそうという魂胆が明らかです。なんとかごまかして乗り切ろうということしか考えていない。今回の(トラブルがあったことを認める)声明全体を見ても、開き直っているとしか思えません。悲しいですよね。
いま、我々のところには、旧統一教会信者2世からの『ああいう(暴力に訴える)ことはやってはいけない。でも、山上徹也の気持ちは悲しいほど分かる』と、痛切な訴えや相談が来ています。
今回の事件をきっかけに、教団は、その活動の仕方や、資金集めのあり方について、抜本的に見直して、オープンにしてほしい。その姿勢が、田中会長の会見からも、今回の声明からまったくうかがえません。今回の事件について、旧統一教会にどう責任があるかについて、ごまかそうとしている。まったく反省がありません」
全国弁連では、旧統一教会の声明に反論する新たな声明を、近日中に出す予定だという。
( SmartFLASH )