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【上海電力と橋下徹氏】北村晴男弁護士が新事実で追及「大阪市がステルス入札で優遇」疑惑

社会・政治 投稿日:2022.07.28 06:00FLASH編集部

【上海電力と橋下徹氏】北村晴男弁護士が新事実で追及「大阪市がステルス入札で優遇」疑惑

2010年7月、府知事として中国外務省の張志軍次官と北京で会談し、総領事館の大阪湾ベイエリアへの移転を要請(写真・共同通信)

 

「人を指さすな!」

 

 いつもは沈着冷静な北村晴男弁護士(66)が、このときばかりは声を荒らげた。

 

 5月7日に配信されたABEMA『NewsBAR橋下』で、ホストの橋下徹弁護士(53)とウクライナ問題について徹底討論したときのこと。橋下氏の挑発的な態度に思わず“キレ”てしまったのだ。そして、6月4日配信の“第2ラウンド”でも、「咲洲メガソーラー発電所」と「上海電力」に関する“疑惑”についてバトルを繰り広げた。

 

 

「じつは3回めの出演依頼があり、日程調整ができれば、今度も疑問点を徹底的にぶつけたいと思っています。『FLASH』で対談をやるなら、検討しますよ」

 

 いまも納得がいかない様子の北村弁護士に、問題の本質を聞いた。

 

「私がいちばん疑問に思っているのは、橋下さんが大阪市長だった2012年に実施された、咲洲(さきしま)メガソーラー発電所に用いる土地の賃貸借に関する入札経緯です。当時、ソーラー発電所を造ると、行政が必ず電気を買い取ってくれる制度ができたばかりだった。しかも、買取価格はめちゃくちゃ高かったのでリスクなしで儲かる。こんなおいしい話はないので、不動産会社など、発電事業をしたことがない企業も次々と参入しました。ところが咲洲メガソーラーの場合、入札に参加したのは1事業体(2社の連合体)だけ。

 

 しかもその事業体は、“予定価格(最低制限価格)”をわずか1円だけ上回る55万1円で落札したんです。“一般競争入札”といいながら、じつは大阪市は非常にわかりにくい形でしか入札情報を公開せず、それを知ることができた事業体だけが、55万1円という最低ラインで入札することができたのではないか。そう疑わざるを得ません」

 

 そこで北村氏は、独自調査をおこなった。全国の何千という官公庁や自治体の入札情報を、ネット上でロボットと人の力で網羅的に集めてデータベース化している会社があり、そこに大阪市の咲洲メガソーラー発電事業の情報がどのように公開されていたのか問い合わせたのだ。

 

「答えは『当社のデータベースにない』でした。どういうことかと聞くと、そもそも入札情報をHPに載せなかったり、載せてもごく短期間か、あるいはリンクを辿っても詳細情報に到達できないようにする手法があるらしい。そうしたやり方を、同社は『ステルス入札』と呼んでいます。断定はできませんが、大阪市の咲洲メガソーラー事業がステルス入札だったとすれば、すべてつじつまが合うのです」

 

 番組で橋下氏は「入札情報をHPに載せなきゃいけないというルールはない。裁判所が競売情報をHPに載せないのと同じだ」と発言している。

 

「裁判所の話はまったく関係ありません。番組後、彼はツイッターで私に対し、『入札情報は当時の大阪市のHPに出ていた。確認不足で議論するな』と投稿した。なんじゃこれ? と思いましたよ。HPに出ていないと話していたのはあんたじゃないかと。それですぐに、先ほどの調査会社に再確認してもらったんです。しかし、答えはやはり『ない』でした。意図的にわかりにくい情報の出し方をした疑いが拭えません」

 

 そして、2014年に事業体を構成していた1社が抜け、そこに参入したのが上海電力だ。

 

「上海電力はHPで『大阪市から招致された』と書いていますが、最初から“1社入札”の仕組みがあったのでなければ『招致された』とはいえないはずです。確たる証拠はないが、最初に落札した事業体は上海電力に事業を引き継ぐための“トンネル”だったのではないか。あとで抜けた1社も、こんなに儲かる事業を譲るなんてあり得ない。最初から、上海電力に事業をさせる意図があった可能性がある」

 

 疑惑を拭えない理由として、橋下氏の中国寄りの言動があるという。

 

「たとえば、彼はかつて『中国は多民族国家だから独裁でなければ統治できない』と発言している。中国共産党にとっては、涙が出るほど嬉しい話です。また、大阪府知事に就任した直後、超多忙のなか、10カ月間で3回も訪中している。彼の言動は、中国に好都合なものばかりなんですよ」

 

 今回、本誌は橋下氏と大阪市に質問状を送った。

 

 橋下氏には、市長時代に咲洲メガソーラー事業について関知していたか否かを尋ねたところ、「大都市である大阪の知事、市長は膨大な業務を抱えており、あらゆる分野において基本方針を打ち出すところまでが仕事。そこからの実務は行政組織の仕事」と回答した。また、入札価格が予定価格よりも1円だけ上回ったことについては、「情報公開された入札において、最低入札価格と同額、ないしは1円だけ上回る額で落札された入札事例は山ほどある」との見解だった。

 

 大阪市には同事業の最終責任者が誰かを問うと、「本件は、事業者を募集したものではなく、港湾局所管土地の賃貸借契約の相手方を募集したものであるため、決裁権者は港湾局長です。特に市長からの指示等はありません」という回答だった。

 

“第3ラウンド”で、ついに真相解明なるか。

 

( 週刊FLASH 2022年8月9日号 )

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