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旧統一教会の会見を見た「元信者」大学教授が語る「田中会長の表情には最初、不安が出ていた」

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2022.08.11 20:00 最終更新日:2022.08.11 20:04

旧統一教会の会見を見た「元信者」大学教授が語る「田中会長の表情には最初、不安が出ていた」

日本外国特派員協会で会見する田中富広会長(写真・時事通信)

 

 8月10日、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の田中富広会長は、日本外国特派員協会で記者会見をおこなった。安倍晋三元首相の銃撃事件で容疑者が語った動機から、旧統一教会に注目が集まって以降、霊感商法や多額の献金、政治との癒着など、多くの問題が明るみに出たことを受け、冒頭で田中会長は謝罪の言葉を述べた。

 

 一方、メディア報道により、過剰取材だけでなく、脅迫電話がかかってきたり、子供がいじめられたり、会社で退職を迫られたりなど、全国の信者に被害が及んでいる現状を訴えた。また、霊感商法は過去も現在もおこなったことはなく、正体を隠すために世界平和統一家庭連合に名称を変更したわけでもないと、世間の批判に対して反論した。

 

 

 滔々と見解を述べる田中会長は、定められていた制限時間を優に超え、進行役のビデオジャーナリスト・神保哲生氏に「田中会長、そろそろスピーチを終わりに」と注意されると、「全部させてください」と抗う一幕もあった。

 

 元信者で、金沢大学教授の仲正昌樹氏は「予想どおりの内容」としつつ、率直な感想を語った。

 

「田中会長が最初、非常に緊張した面持ちで登壇したのが印象的でした。やはり、世間から非常識といわれることが予想されていたため、大丈夫なんだろうか、という不安が顔に出ていたのだと思います。

 

 しゃべった内容より、その表情のほうが印象的でした。やっぱり苦しいんだろうな、と。教会に長い期間いれば、そういう葛藤を表情には出さなくなるもので、あの人も40年以上信者を続けて、かなりのベテランですが、やっぱり危機的な状況なので、初めは“素”が出ていました。ただ、頭を下げて着席するくらいまでの、ほんのちょっとの間ですが。そのあとは気を取り直して、与えられた役割を演じることに徹し、機械的に文章を読み上げてるように思えました」

 

仲正昌樹教授

 

 発言の中で、引っかかった言葉はあるのだろうか。

 

「『共産主義との戦いを信条としています』と、何度も繰り返していたのが気になりました。世界基督教統一神霊協会から世界平和統一家庭連合に改称し、もはやこの言葉は強調しないだろうと思っていましたが、まだ言っているんだなと。ただ、政治との関係を批判されていたので、ほかに言いようがなかったのかもしれません。

 

『国際勝共連合』は、今でも関連団体として存在しますが、教会は共産主義の克服よりも理想の家庭を築くことに重点を移したので、教義の柱のように発言することは控えるだろうと思っていました」

 

 信者カップルの離婚率は2%で、一般的な日本社会の離婚率・35%と比較して圧倒的に少ない、と強調する場面もあった。

 

「どの時点から数えたものなのでしょう。文教祖が2人を引き合わせるマッチングから数えてなのか、合同結婚式からなのか、家庭を持ってからなのか。マッチングは祝福とも呼ばれますが、それをみんなで祝う合同結婚式も含めて、あくまで婚約で、結婚は統一教会では『家庭を持つ』という言い方をします。結婚ではなく婚約から数えれば、別れた数はもっと多いでしょう。

 

 そもそも教義では、人間が背負っている原罪は結婚によって清算されることになっていて、別れることは許されない。だから、離婚が生じていること自体が本来はおかしい。その意味では、この数字は教義の矛盾を表しているともいえます。ただ実際は、規則も徐々に緩くなってきていて、離婚する夫婦も出てきているのでしょう。退会してから離婚したケースも多く、私の知人にもいます」

 

 総じて田中会長は公式見解を述べただけで、世間を説得しようとはしていなかったと感じたという仲正氏。たしかに、この会見では人々は「納得」できないだろう。

 

( SmartFLASH )

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