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旧統一教会に北朝鮮が弔電…長年続く交流は “反共” と矛盾しないのか【専門家に聞く】
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2022.08.14 19:20 最終更新日:2022.08.14 19:25
8月13日、旧統一教会の創始者・文鮮明氏の死去から10年になるのを前に、北朝鮮が遺族に弔電を送ったことを共同通信が報じた。
文氏は1991年秋に訪朝し、金日成・国家主席ら幹部と会談。それ以来、北朝鮮で経済支援事業をおこなうなど、旧統一教会は北朝鮮と交流を続けてきた。
北朝鮮は「主体思想」という独自の共産主義を掲げる国家だ。一方、文氏は共産主義に対抗する政治団体「国際勝共連合」を設立。10日おこなわれた田中富広会長の会見でも「共産主義と対峙」し、そのために自民党と手を結んできたという発言がなされた。
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弔電報道を受け、SNSでは《北朝鮮とズブズブのくせになーにが「共産主義と対峙してきた」だよ》などと、旧統一教会の矛盾を指摘する声が出ている。これは、いったいどういうことなのか、元信者の金沢大学教授・仲正昌樹氏が解説する。
「じつは教義では『反共』とは言っておらず、『勝共』つまり『共産主義を乗り越える、克服する』という表現を使っています。
反共というと、共産主義と敵対するニュアンスがあり、教祖の文鮮明氏も嫌っていた。そうではなく、共産主義陣営の人たちがどのように間違っていたかを教え諭し、彼らに理解させるというのが勝共理論であり、統一教会の教えです。
文氏は北朝鮮の出身で、平壌で伝道を始めましたが、当局に異端視されて捕まります。やがて南の韓国へ逃げて活動を再開しました。だから、金日成氏や朝鮮労働党に自分たちの誤りを悔い改めさせ、教義に帰依させたうえで朝鮮半島を統一することが最終目標だったのです。
一般には反共を掲げているように見えますが、旧統一教会はあくまで共産主義の克服を目標にしているので、教義に矛盾はないんです。外部の人がどうとらえようが、マスコミがいかに報じようが意に介しません。
文氏が1991年に電撃訪朝し、金日成氏ら幹部たちと会談して以来、統一教会と北朝鮮の交流は続いていますが、これは教会にとって共産主義陣営を包摂し、南北統一するために必要なプロセスなのです」
弔電が送られたのは、ある重大なイベントに合わせたタイミングだったという。
「11日から15日にかけておこなわれている、統一教会の『ワールドサミット』に関連づけてのメッセージだと思われます。15日は日本にとっては終戦記念日ですが、韓国や北朝鮮にとっては解放記念日。そして今年は、文氏昇天10周年です。
『ワールドサミット』は、2020年に朝鮮戦争開始70周年を節目として始まり、『韓半島平和統一』を目指して、世界のさまざまな分野の指導者を招いておこなわれています。
2022年2月のサミットでは安倍晋三元首相が手紙でメッセージを送り、ペンス元米副大統領が出席しました。今回はトランプ元米大統領とペンス元米副大統領がビデオメッセージを出し、カンボジアのフン・セン首相は共同議長まで務めています。
このイベントで、旧統一教会は内外に影響力を示し、朝鮮半島の統一は自分たちのイニシアティブで進めるという印象づけを狙っているのです。
日本では10日に田中会長が会見をおこない、組閣に合わせたのではないかと言われていますが、私はこのサミットに合わせたのではないかと考えています。
文氏昇天10周年記念でもあるサミットを成功させるため、日本での騒ぎを少しでも鎮めようとして記者会見を開いたのではないかと。日本のマスコミもサミットのことを報じざるを得ず、『われわれ神側の勝利だ』と考えているはずです」(前出・仲正教授)
旧統一教会の現在の正式名は「世界平和統一家庭連合」だ。共産主義だけでなく「世界統一」を理念として掲げているのだろうか?
「そのとおりです。ただ、全世界を統一するための核であり、象徴となるのが南北統一だと考えているのです。それができれば、神の愛のもとにおのずと世界は一つになると考えています。重大な足がかりとなる南北統一は自分たちにしか成し遂げられないもので、そのための力をアピールする場がワールドサミットというわけです」(同)
文氏が亡くなった2012年、一周忌の2013年、3周忌の2015年には、金正恩第1書記が旧統一教会側へ弔電を送っている。各国政界と関係し、国際政治にも影響力を行使しようとしてきた教団の思惑が窺える。
( SmartFLASH )