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逮捕の高橋治之元理事、本誌が聞いていた仰天素顔「力は森喜朗より上」「電通本社ビルで副業」
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2022.08.18 17:16 最終更新日:2022.08.18 17:19
8月17日、東京地検特捜部は、受託収賄の疑いで東京2020大会組織委員会の元理事・高橋治之容疑者(78)を逮捕した。
東京五輪・パラリンピックのスポンサー選定などをめぐり、紳士服大手AOKIホールディングス側から計5100万円を受け取った疑いがある。
同時に、贈賄容疑でAOKIHD前会長の青木拡憲容疑者(83)、同容疑者の弟で同HD前副会長の青木宝久容疑者(76)と、子会社AOKIの前社長で同HD専務執行役員の上田雄久容疑者(40)も逮捕されている。
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スポーツビジネス界の「レジェンド」と呼ばれていた高橋容疑者。彼を古くから知る電通OBは、本誌にこう語っていた。
「高橋さんほどスポーツ業界に国際的な人脈を持つ人物はいない。五輪関係者だけではなくMLB、FIFA、PGAと多種多彩で、誰もが頭が上がらないのだろう」
高橋容疑者は1970年代からスポーツビジネスに携わり、サッカー界で “王様” と呼ばれたペレの引退親善試合を日本で開催。主催する日本サッカー協会に大きな収益をもたらし、信頼を勝ち取った。
本誌は、大手広告代理店・電通本社ビル(東京都港区)の46階にある「ソラシオ汐留」のオーナーを高橋容疑者が務めていたことも報じている。当時は一介の常務でしかなかった高橋氏が、なぜ自社ビルで “副業” に勤しむことができたのか。そして、いかにして東京五輪の “黒幕” となったのか――。
「とんとん拍子で出世できたのは、“電通の天皇” と呼ばれた成田豊さんから高評価を得たことが大きかった。当時は成田さんの出身部署である新聞局が出世コースで、先行投資が必要だった事業局は、あまり評価が高くなかった。
しかし、高橋さんは、たとえばサッカー日本代表がアディダスやキリンと大口の契約を結ぶなど、スポンサー料を先に取る手法を確立した」(前出・電通OB)
高橋容疑者の “集金能力” は、日本オリンピック委員会(JOC)にとって願ってもないものだった。
「JOCに電通が食い込むきっかけとなったのが、1980年のモスクワ五輪を前に始まった『がんばれ!ニッポン!キャンペーン』です。選手の肖像権を利用して協賛金を獲得し、それを選手の強化費にまわすキャンペーンで、万年資金不足だったJOCにとって、このうえなくありがたいものでした。これを主導したのが高橋さんで、JOCの運営は電通なしには成り立たなくなりました」(電通社員)
こうしてスポーツ界に圧倒的な影響力を持つにいたった高橋容疑者にとって、五輪を成功させて自らの手柄としたい政治家たちを取り込むことは、いともたやすいことだった。
2020年12月15日の菅義偉首相(当時)の動静を見ると、各紙は横並びでこう報じている。
《「ステーキそらしお」でフジテレビの宮内正喜会長、遠藤龍之介社長、東京五輪・パラリンピック組織委員会の高橋治之理事と会食》
「ステーキそらしお」は、高橋容疑者が東京・六本木で経営する店で、「特選銘柄牛コース」が2万2000円という高級店だ。
「高橋氏は、『ステーキそらしお』での会食は店のプライベートルームでおこないます。ここには、FIFAの幹部など世界のスポーツ界の重鎮と撮った写真などが飾られています。この部屋に政治家たちをわざわざ呼びつけて自身の功績を誇示し、マウントを取るのです」(JOC関係者)
女性蔑視発言で組織委員会会長を辞任した森喜朗氏とも、高橋容疑者は昵懇の仲だったという。
「高橋氏は政治家を下に見ているところがあり、森氏に対しても大きな態度をとることがあります。組織委員会の会合でも、森氏が起立しているなかで、腰を上げない人物は高橋氏くらいでした」(同)
電通本社ビルの「ソラシオ汐留」は、2020年に閉店した。前出の電通関係者が振り返る。
「高橋さんがオーナーだということは、社員はみんな知っていて、仕事の打ち上げでも使っていましたね」
高橋容疑者は、2009年に電通を退社したあとも電通への出入りを続けていたという。
「社内には『高橋さん案件』という言葉があり、さまざまな対応を迫られます。しかし、部長クラスが対応しようとしても、高橋さんは『キミみたいな小物じゃ話にならん』と相手にしません」(電通社員)
最上層まで上り詰めても、高橋容疑者の欲望は満たされなかったのだ。
( SmartFLASH )