社会・政治社会・政治

盛り上がらない「維新の会」代表選の背景に松井一郎代表の「プーチン化」院政めざし一転、後継指名

社会・政治 投稿日:2022.08.22 06:00FLASH編集部

盛り上がらない「維新の会」代表選の背景に松井一郎代表の「プーチン化」院政めざし一転、後継指名

「日本維新の会」の松井一郎代表。自身も2021年12月、議員30人と焼き店で「大宴会」を開き、批判された

 

 8月27日に投開票される、日本維新の会の代表選。

 

 立候補しているのは、足立康史・国会議員団政調会長(56)、馬場伸幸共同代表(57)、梅村みずほ参院議員(43)の3氏だ。

 

 副代表である吉村洋文大阪府知事は、大阪維新の会の活動に専念するため、代表選には立候補していない。その吉村府知事は8月18日、《僕の1票は馬場さんに投票する》と投稿。この発言は、一般党員に影響を与える見方が強まっている。

 

 

「候補者3氏の知名度は高いといえず、代表選も盛り上がりに欠けています。

 

 しかしそれ以上に、この代表選が“シラける”理由があります。その背景には、引退を表明してもなお、影響力が強すぎる松井一郎代表の存在があります。彼はもう、“維新のプーチン”ですよ……」(大阪の地方議会関係者)

 

 当初、松井代表は、代表選について「後継者指名はしません。『だれを』ということもないし、『だれだからだめ』ともいいません」「地方議員でも『われこそは』という人にでてきてもらいたい」(7月13日発言)と述べていた。

 

 ところが8月4日になると、突然、態度を豹変。「僕を引き継ぐ、次の代表としては馬場議員を応援したい」と、事実上の“後継者指名”をしたのだ。

 

 前出の地方議会関係者は、本誌に豹変の理由を語り出した。

 

「この豹変は、東徹(あずまとおる)参議院議員が、代表選立候補の意欲を示したのがきっかけ。松井氏は、4日には『東色ってなにをだすのか、そこがちょっとよくわからないところがあります』と、立候補に苦言さえ呈したのです。

 

 その結果、東氏は『松井さんのことを親分と思っている議員は多い、その親分が馬場議員を支持するといっている中で、僕を応援するのはなかなかしんどい』と、出馬を取りやめてしまいました。

 

“出来レース”ではないか、と批判が上がりそうなものですが、東氏の言うように、松井氏に歯向かうのは難しい。地方議員の多くが馬場氏の推薦にまわったのか、馬場氏の推薦人は激増。必要数(30名)の10倍、特別党員(約600人)の半数近くの、306名まで膨れ上がったのです」

 

 いったいなぜ、松井氏は前言をひるがえし、馬場氏の後継指名発言をしたのか。また、東氏は立候補をとりやめてしまったのだろうか。

 

「松井氏と馬場氏は、以前はともに自民党所属でした。2人が若手地方議員時代(注・松井氏は大阪府議、馬場氏は堺市議)、自民党大阪府連の青年局長を、まず年上の松井氏がやって、そのあとを馬場氏が引き継ぎました。先輩、後輩の関係ですから、信頼関係はほかの議員と比べものにならないぐらい厚い。いってみれば、馬場氏は松井氏のいちばん信頼のおける、弟分みたいな存在なんです」(同前)

 

 そして、今回の代表選挙についても、松井氏は当初から馬場氏を推すことを決めていたという。

 

「当初は、表立って口にはしていませんでしたが……。古くからの2人の関係を知る人間なら当然、そう思っていました。足立氏や梅村氏が立候補しても、馬場氏の実績と比べたら“敵ではない”と思っていたのでしょう。その余裕から、『後継者指名はしません』と口では言っていたわけです」(同前)

 

 しかし、そんな松井代表のプランを脅かしたのが、東氏だ。

 

「維新の起源は、松井代表を含めた6名の大阪府議会議員の集まり。代表は府議出身者から出したいという思いがあります。それでいちばんに名前が挙がったのが、府議から国会議員となった東氏です。

 

 とにかく温厚な性格で、人柄がいい。お父さんも府議という2世で、どこかお坊ちゃんタイプ。敵をつくらないんです。東氏が立候補するなら応援しよう、という府議が大勢、出てきたのです」(同前)

 

 維新の代表選のシステムでは、国会議員や地方議員らで構成される特別党員約600人も、議員ではない一般党員約2万人も、等しく1人1票としてカウントされる。これは、国会議員の票数の比重が高い、自民党や立憲民主党などとは異なる。

 

「一般党員は、それぞれその地区の府議 市議とつながっています。言い方を変えると、議員と一般党員は紐づいているわけです。

 

 府議、市議が抱える大阪の党員の数は、1万2000。もし、懇意にしている1万2000人の大阪在住の一般党員に『東さんをよろしく』と票を呼びかけて、実際にそのほとんどが東氏に投票したとすると、全体の過半数を超えるわけですから、いくらこれまでの実勢がある馬場氏だとしても、逆転される可能性が出てくるわけです。

 

 それを危惧した松井氏は、突如として馬場氏を後継者に指名しました。状況は“鶴の一声”でガラっと変わってしまいました。松井氏にとっての脅威は東氏ではなく、府議や市議らの意向で、大多数の一般党員が松井氏の思惑と違う方向に結託してしまうことだったのです」(同前)

 

 発言以後、馬場氏の推薦人が激増したのは前述のとおりだ。前出の関係者は、東氏が立候補を取り下げなかったとしても、「逆転は難しかっただろう」と頭を抱える。

 

「維新の議員にしてみたら、いま議員活動ができているのは、維新をここまで成長させた松井氏のおかげ。誰も、党内で松井氏にさからうことができない。まぁ、プーチンみたいなもんですよ(苦笑)。

 

 8月4日の会見で、負けた候補者の処遇について尋ねられた松井氏は、『自民党なんかは、闘うときには冷や飯覚悟でやっている。維新もその方向でやってほしい』と明言しました。つまり、負けたら『党内でも冷遇するぞ』と、他の候補とその応援をする党員への“脅し”ともとれるような物言いで、周囲をけん制したのです」(同前)

 

 この関係者は、松井氏について「引退しても、院政を敷くだろう」と語る。

 

「新代表になるであろう馬場氏もこれまでどおり、松井氏と相談しながら党を運営していくはずです。それができるように、松井氏は馬場氏を代表にすることにこだわっているはずですから」

 

 別の大阪の地方議会関係者のひとりは、今後の維新についてこう語る。

 

「いくら松井さんが院政を敷いたとしても、馬場さんに、松井さんと同じカリスマ性があるわけではない。今回、松井さんは『後継者は馬場氏』と、自ら指名をすることで、府議らを抑えられましたが、馬場さんがまた同じような状況になったとき、大阪府議らを抑えられるか疑問です」

 

“カリスマ創業者”が引退した後こそ、その“真価”が問われることになるのは、党も企業も同じだ。

 

( SmartFLASH )

続きを見る

社会・政治一覧をもっと見る

社会・政治 一覧を見る

今、あなたにおすすめの記事