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10月登場の新ワクチン BA・4、BA・5に「中和抗体の数値低い」論文データ…名古屋大名誉教授が感染防止効果に懸念
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2022.08.25 06:00 最終更新日:2022.08.26 19:36
「今のところ、即効的な妙案はありません」
衆議院議員で放射線科医でもある米山隆一氏は、現行の新型コロナウイルスワクチンの実効性について、こう語る。
「そもそも現行のワクチンは、英国で最初に検出された武漢株の遺伝情報をもとに設計、開発されています。
いま主流のBA・5とその亜系統は、4回目接種をしてもブレイクスルー感染してしまう例が少なくないことが報告されています」(米山氏)
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8月19日、国内の感染確認は26万人を超え、過去最多を記録した。
「ワクチンによって、重症化は防げていると思いますので、ワクチンの接種自体は進めるべきだと思います。しかし、それによって感染拡大を防ぐ効力は、残念ながら今までほど大きくはないかもしれません」(米山氏)
米山氏が現行のワクチンの効果に疑問を持つようになったきっかけのひとつが、名古屋大学の小島勢二名誉教授の“発見”だ。5月29日、米山氏はこうツイートしている。
《厚労省が、ワクチンを接種したけれど接種日が分からない「未記入」を、「未接種」と分類して公表していた為に、本来効果が薄いオミクロン株に対するワクチン効果が過大に評価され、殆ど「正反対」ともいえる結果になっていたとの記事です。「不祥事」と言える失態だと思います》
小島氏が経緯を語る。
「オミクロン株が主流になってから、『コロナワクチンの感染予防効果が低い』との報告が海外で増えていました。海外では予防効果が20%くらいまで落ちているのに、日本では4月に入っても90%のままでした。しかし、接種日がわからない『接種歴不明』は本来『接種者』としてカウントする必要があるため、あらためて独自に試算しました」
小島氏の調査が厚労委員会で取り上げられると、厚労省はデータを修正。4月4日~10日までは未接種者が7万6877人もいたのに、11日~17日は3万3207人に激減したのだ。
「その結果、ワクチンを2回接種した人の感染予防効果がマイナスになり、かえって感染しやすいといえる結果になったのです」(小島氏)
第7波を受けて、早稲田大学理工学術院教授で東京・大阪の「みいクリニック」理事長の宮田俊男医師のもとには、ワクチン接種の希望者が急増しているという。
「3回接種を控えていた人たちが駆け込んできている状況です。しかしワクチンの実効性は薄れており、4回目を接種した後に感染した患者さんがかなりいます」
それでも8月12日、小池百合子都知事が4回接種の対象拡大を岸田文雄首相に要望するなど、ワクチン頼みの現状に変わりはない。
そんななか、10月半ばから、オミクロン株に対応した新ワクチンの接種が始まる。《10月まで待とう》という声がネットでも見られるが、宮田医師はこう予測する。
「最近の日本のワクチン流通の停滞を思うと、本当に10月から接種を始められるかは不明です。また、新ワクチンはBA・1系統に基づいたもので、BA・5にも有効だというエビデンスは出揃っていません。そうこうするうち、新たな変異が起きる可能性は十分にあります。10月まで待つよりも、現行ワクチンで重症化を防ぐほうがまだいいのではないでしょうか」
そして前出の小島氏は、新ワクチンに関する衝撃データをもとに、こう語る。
「日本では誰も注目していませんが、モデルナ社が6月末に公表した、オミクロン対応ワクチンの査読前論文があります。この新ワクチンのBA・4、BA・5に対する中和抗体の平均値が、非常に低いものだったのです」
新ワクチンのそれぞれのウイルスに対する試験管試験の結果を比較してみると、BA・4、BA・5に対する接種後の中和抗体の平均値は、武漢株、BA・1と比べて低い。
「中和抗体の値が低ければ、感染予防の効果も小さい。新ワクチンは期待外れである可能性があります。事実、論文によると被験者に新ワクチンを接種したところ、11人(3.2%)がコロナに感染し、うち症状が出たのは5人だったのに対し、従来型ワクチンを接種して感染したのは5人(1.9%)で、症状が出たのは一人のみでした。従来型のほうが有効だという結果が出たのです」(小島氏)
新ワクチンも期待できないとなれば、感染はこのまま拡大を続けるのか。一橋大学経済学部を卒業後に医師となり、地域医療や医療政策について提言する森田洋之氏はこう語る。
「感染症は自然に増減を繰り返しながら、収束していきます。現在のコロナウイルスは感染力が高まるのと引き換えに、病原性が薄れています。欧米の状況を見ると、自然に感染して免疫を持つ人が増えています。感染予防ではなく、重症化を防ぐだけが目的なら、今後ワクチンの存在意義は失われていくでしょう。そうなれば、若者・子供は接種対象から除外されるべきではないでしょうか」
集団免疫獲得までの今しばらくは、“重症化を防ぐ”ために「それでも打つ」しかなさそうだ。
取材/文・鈴木隆祐