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【統一教会と戦う弁護士3】晒された仲間の“ニセ不倫写真“、韓国訛りで“ウソ取材”…渡辺博氏が屈しないワケ
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2022.09.07 06:00 最終更新日:2022.09.07 06:00
統一教会の問題がメディアで連日取り上げられるようになり、教団の問題があまり顧みられなくなった“空白の30年”においても、なお教団と戦ってきた男たちにようやく光が当たっている。
前号では、ジャーナリストの鈴木エイト氏と有田芳生氏(70)の戦いの歴史を紹介したが、今回、本誌は統一教会と対峙してきた弁護士を取材した。不法行為を糾弾しつづける彼らの根底には、徹底したプロ意識と温かな人間性が垣間見える。
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《統一神霊協会(統一協会)というカルト宗教団体を脱会することができた若い女性から、あなたの娘さんが誘い込まれているとの知らせがあり、このお手紙を差し上げました》
渡辺博弁護士は、長年、統一教会信者を脱会させるための運動を続けてきた。
「10年ほど前から、統一教会にハマってしまった方の親御さんに手紙をしたためてきたんです」
この“手紙作戦”は信者たちの脱会活動に功を奏したが、統一教会の逆鱗にふれた。
「当時、教団のシンパだった著名ジャーナリストと組んで、我々が信者を拉致監禁していると告発してきたんです。僕が信者の親御さん宛に書いた手紙を実名つきでブログで公開し、『カネ儲け目的で親に拉致監禁をそそのかして、その後、統一教会に損害賠償請求してカネを稼ぐ悪徳弁護士だ』と」
攻撃はそれだけですまなかった。
「一緒に統一教会の問題を追及していた弁護士の不倫写真をでっちあげて、教団がネットに晒したのです。そして、『次は渡辺の不倫を暴く』と。そんな女性関係なんてないんですけどね(笑)。最近では、週刊誌記者を名乗る人物が何度も電話をかけてきて、テレビに出て拉致監禁について懺悔しろと言ってきたこともありました。その日本語は、韓国訛りでした」
こうした不当な行為に屈さずにいられるのは、先輩弁護士からのある教えのおかげだという。
「駆け出しのころに先輩弁護士から言われたのが『暴力団と交渉するときは、怖がらずこっちから事務所に行け』ということ。以来、ずっと現場主義でやっています。脱会信者を助けに行くときも、もちろん直接乗り込みますよ」
32年間に及ぶ統一教会との戦いに後悔はないが、心残りは「教団がまだ存続していること」。彼らの長い戦いが実を結ぶ日は、手が届くところまで来ているのかもしれない。
わたなべひろし
1953年3月千葉県生まれ 立教大学法学部卒 1990年第二東京弁護士会に登録。霊感商法被害救済担当弁護士連絡会事務局長など