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初外遊の裏でトランプ大統領「ワシントンを離れたくない」

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2017.05.25 11:00 最終更新日:2017.05.25 16:55

初外遊の裏でトランプ大統領「ワシントンを離れたくない」

サウジアラビアに到着したトランプ夫妻(フェイスブックより)

 

トランプ大統領の初の外遊が始まった。サウジアラビアからスタートし、イスラエルやバチカン、イタリアを巡り、その後、NATO首脳会議に出席するためベルギーを訪問する。9日間にわたり、ホワイトハウスを留守にする。

 

本人はロシアに機密情報を流したとされる疑惑から弾劾の瀬戸際に追いつめられ、支持率も史上最低を更新中のため、気が気でないだろう。

 

親しい知人には「こんなに長くワシントンを離れていて大丈夫か。日程を半分くらいに短縮できないものか」と漏らしているという。

 

実は、トランプ氏は枕が変わると寝つけない体質で、ホワイトハウスにはトランプタワーで使っていた同じベッドを持ち込んでいる。行く先々には特注ベッドが欠かせない。

 

ただでさえ発言が過激なことで物議を醸すことの多い大統領のこと、睡眠不足になると、どんな突拍子もない言動を繰り出すか、と周りはハラハラしている。

 

そのため、メラニア夫人に加え、娘のイバンカ夫妻も全行程に同行することになった。トランプ大統領の暴走を抑える「精神安定剤」にはイバンカが最適というわけだ。

 

ちなみに、最初の訪問地リヤドの空港に降り立ったメラニア夫人もイバンカ嬢もイスラム圏では欠かせない黒い衣装のアバヤや黒いベールで頭を隠すニカブをまとっていなかった。

 

2年前、オバマ大統領がミッシェル夫人を同伴し、サウジアラビアを訪問した際、アバヤやニカブを身につけていなかったため、トランプ氏はツイッターで「イスラム文化を侮辱するものだ。敵を増やした」と批判していた。些細なことだが、ここでも言動に一貫性がないことを証明したわけだ。

 

トランプ氏の思いとすれば、「サウジにアメリカの武器を1,100億ドル(約12兆円)も売ることになったのだから、大成功だ。これでロシア疑惑も吹き飛ぶだろう」ということかもしれない。その上、日本からソフトバンクの孫正義社長を呼び寄せ、「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」(10兆円規模)の発足をアピールした。

 

とはいえ、サウジに輸出されることになったロッキード・マーチンのレーダーシステムの価格交渉には娘婿のクシュナー氏が深く関与し、ソフトバンクのファンドに関してはサウジ政府に加え、中国の資金も想定されており、ここでもクシュナー氏の影響が大きいと言われている。

 

要は、トランプ一家の「ファミリービジネス・ファースト」というわけだ。

 

既にクシュナー氏は「影の副大統領」と呼ばれ、4年後には「トランプ氏の後を継いで大統領を狙う」とウワサされるまで、その存在感を増している。

 

これにはトランプ大統領の実現に奔走した共和党陣営からも反発する動きが加速している。民主党や大手メディアからはロシア疑惑を追及する声が日増しに増大しており、共和党の内部からさえ、「弾劾となれば、ニクソンと同じだ。次の中間選挙は戦えない。任期を全うするなどあり得ない」といった不安の声が出始めている。万が一、弾劾となれば、大統領の辞任は避けられないので、早めにペンス副大統領に乗り換える動きも見られるようになった。

 

大統領の留守中、ペンス氏は共和党支持の大口献金者を集め、新たな組織作りに着手した。トランプ氏の立場はいつまで安泰なのか――。

 

(国際政治経済学者・浜田和幸)

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