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旧統一教会、元 “マイクロ隊員” が明かす訪問販売の手口「狙い目は独居老人、ときには歌をうたって親近感を」

社会・政治 投稿日:2022.09.19 06:00FLASH編集部

旧統一教会、元 “マイクロ隊員” が明かす訪問販売の手口「狙い目は独居老人、ときには歌をうたって親近感を」

旧統一教会の田中富広会長 写真・アフロ

 

「私は、街頭で『月2500円で映画を見ながら人生を語りませんか』と誘われたことがきっかけで入信しました。その後、3カ月間ビデオセンターに通い、さらに4日間の合宿に参加したあと、“マイクロ隊” の一員として北海道に送りこまれました」

 

 こう語るのは、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)元信者の男性Aさんだ。Aさんは1990年代前半、19歳で入信。同時に、10~20代の若い信者がグループになって訪問販売をおこなう“マイクロ隊”に加わり、3年間活動した後に脱会した。「マイクロ」とはマイクロバスの略称で、実際は、ハイエースなどのワンボックスカーのことである。

 

 

 北海道大学の櫻井義秀教授と大阪公立大の中西尋子研究員の共著『統一教会』によると、教団は創設期に資金調達活動としておこなっていた花売りの延長で、珍味や茶、コーヒー、ハンカチなどを売り始めた。“マイクロ隊”の活動は1980~90年代にもっとも盛んだったが、現在でも商品を変えて地方で続けられているという。

 

“マイクロ隊” とは具体的にどのような活動をしているのか。Aさんがビジネスの実態を明かす。

 

「東京からワンボックスカー2台に16人が分乗し、北海道でハンカチの訪問販売を1カ月間やりました。両親には自転車で北海道旅行をしているとウソをつきました。3カ月間の研修のときも家出状態でしたが、両親はまだ統一教会の実態などを知らなかったので、とくに心配していませんでした」

 

 車は日産の「キャラバン」で、レンタカーだった。

 

「運転手はリーダー格の男性。運転席以外、後部座席は全部取っ払って床にコンパネを敷き、1台に8人が寝起きしました。全員布団で互い違いに寝ました。つまり、私の頭のそばに隣の信者の足があるといった状態。だからときおり、足で顔を蹴られることもありました」

 

 異性とは目も合わせられないという。

 

「たとえば、私が女性の布団に寄りかかったりすると、たちまちリーダーに『バカヤロー』とぶん殴られるんです。これは女性がやった場合も同じ。また、異性と会話するときは相手と視線を合わせてはダメ。顔をあさってのほうに向けて話すから、会話にならない。もちろん体に手が触れるなんて、とんでもない。だから、車内では両手を腰の後ろに回した状態で乗っているんです」

 

 公園の空き地に駐車して寝起きするため、隊員は朝5時に起床して公園の水道で洗面。6時に結団式をおこない、車で移動する。

 

「結団式とは、全員が今日の売り上げ目標を声高に宣言することです。このとき、低い金額を言ったりすると、リーダーから『そんなカネで家族が生活できると思うか』と怒鳴られる。だから、ムリとわかっても20万円、30万円などと高い金額を叫ぶんです」

 

 午前7時、目的地に到着すると信者たちは車から降ろされ、いよいよ販売がスタート。単独行動で、それぞれ受け持ちエリアに散ってゆく。

 

「このとき、リーダーからコピーされた地図がめいめいに渡されます。地図には自分が訪問販売するエリアだけ載っているので、仲間のことはわかりません。ハンカチは3枚セットで3000円。ちょっと高いですが、じつは相手を口説くときの “殺し文句” があるんです。『収益金の一部は世界の恵まれない子供たちのために寄付されます』といって、領収書のコピーをチラ見せして、相手を信用させるんです。金額にかかわらず、福祉施設に寄付すれば領収書は発行されますからね」

 

 Aさんによると、売りやすい相手とそうでない相手がいると言う。

 

「売りやすいのは、話にのりやすいタイプの人です。典型は一人暮らしの高齢者。『おばぁーちゃん(おじぃーちゃん)、元気で長生きしようね』とやさしい言葉をかけたり、ときには歌をうたって親しみを持たせて売るんです。

 

 売りにくいのは、買うのか買わないのかはっきり言わず、説明だけ長々とさせる人。それに『統一教会お断り』と、玄関のドアをピシャリと閉めてしまう人。この2つです」

 

 ノルマは1日売り上げ3万円以上。これがあるから、押し売りまがいにならざるを得ないという。

 

「公衆電話からリーダーに1時間ごとに連絡する義務もあり、その時点の達成金額が少なければまた怒鳴られる。それでいて給料はゼロ。無料奉仕です。昼食は出ますが、コンビニ弁当でした。また1週間に1度、地区長らしき幹部が飛行機で北海道までやってきて、売上金をすべて持ち帰るんです。銀行振込など金融機関を利用しないところを見て、知られてはまずいのかと思いました」

 

 こうして夜の8時まで売り歩く。だが、車に戻ってからも受難は続く。

 

「反省会と称する時間があり、売り上げが少ないと自分を責め立てるよう仕向けられ、明日こそはと、決心を新たにさせられます。就寝は深夜になることもしばしばでした。それでも訪問販売がいやだ、やめたいとは思いません。むしろ厳しいからこそ、かえって世界平和のためになると信じて疑わないんです。これが “洗脳” の恐ろしいところです」

 

 マイクロ隊は、部隊ごとに販売商品が決められている。Aさんはハンカチだったが、そのほかにボールペン、健康食品、珍味、化学ぞうきんなどが売られているという。

 

 現在、Aさんは脱会し、元信者の救済活動に従事している。

 

「足を骨折し、しばらく活動を離れたのが脱会のきっかけでした。この間に聖書をじっくり読み直し、既存のキリスト教団と統一教会の違いなどを冷静に考えるなかでようやく気づいたんです。宗教とは、本来、人々の幸福を願うもの。ところが統一教会は人々に不安や不幸を煽るんです」

 

 脱会にあたり、「サタンに呪われるぞ」「地獄に落ちろ」などとさまざまな脅迫に加え、暴力まで受けたが、それでも屈せず、教団から逃れることに成功したという。

 

取材・文/岡村青


( SmartFLASH )

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