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露軍壊走で窮地のプーチン 小型戦術核で狙う“原子炉爆破”最悪シナリオ

社会・政治 投稿日:2022.09.29 06:00FLASH編集部

露軍壊走で窮地のプーチン 小型戦術核で狙う“原子炉爆破”最悪シナリオ

求心力の低下で追い込まれたプーチンは“最終手段”を示唆(写真・アフロ)

 

 まさに“壊走”だ。9月上旬から始まったウクライナ軍の反攻を前に、ロシア軍は後退を余儀なくされている。

 

「ウクライナ軍の機甲部隊による素早い進軍に、対応できていません。大量の弾薬や最新鋭の戦車すら放棄して敗走している状況です。東部のドンバス地域を防衛するために重要なオスキル川沿いに防衛ラインを構築することにも失敗しました」(軍事ライター)

 

 

 21日、プーチン大統領は、事態を打開するために30万人の部分動員令を発布した。

 

「動員という言葉は、政権側から第二次大戦以来初めて出てきたものです。若い人にとって、これまでウクライナとの戦争は他人事でした。しかし今は恐怖心が勝って『逃げるが勝ち』という状態です」

 

 と語るのは、現代ロシア政治が専門の筑波大学・中村逸郎名誉教授だ。

 

「しかもこれまでプーチンの“忠臣”だったチェチェン共和国のカディロフ首長が、この動員令をチェチェンでは実施しないと言明したんです。ロシアの人口の約14%を占めるイスラム教徒のシンボルが、カディロフ首長。そういった人物が、今回の動員令に歯向かっているということは、プーチンの国内での求心力が弱体化している証拠でしょう。カディロフ首長に同調する地方が出てくることも考えられます」

 

 実際、現地ロシアの混乱はすさまじい。

 

「フィンランドやジョージア国境付近の検問所は、徴兵から逃れるために出国しようとする車で大渋滞を起こしています。ロシア発の国際便のチケット価格も高騰。各地で反徴兵デモが繰り返され、逮捕者が続出しています。また、グーグルではロシア語で『徴兵を逃れる方法』『腕の骨を折る方法』などを意味する言葉が、検索ワードとして急激に増えています。さらに、元ロシア兵を中心とする反プーチン組織『自由ロシア軍』がこうした徴兵忌避を支援しているという情報もあります」(現地紙記者)

 

 しかも、無理やりかき集めた30万人が戦力になるかも怪しいのだ。軍事ジャーナリストの村上和巳氏が語る。

 

「30万人の兵力を一気に投入できるなら、ロシアに有利な状況になります。しかし、今のロシア軍には30万人の“新兵”を受け入れるための指揮官や下士官、さらに装備も足りていません。年内に戦況を打開するのは難しいです」

 

 ますます追い詰められたプーチン。だが、この男の“断末魔”はヨーロッパを地獄に変えるかもしれない。

 

「戦況を一変させるために、射程距離の短い戦術核兵器を使用する可能性があります。今回、9月21日の演説でプーチンは核の使用を匂わせ『これは脅しではない』と言明しています。引くに引けない状況なのです」(村上氏)

 

 だが、戦術核を使用するとして、どのように使うのだろうか。中村教授は、“最悪のシナリオ”として、小型戦術核による原発攻撃を挙げる。

 

「原発は頑丈に造られているため、通常兵器では破壊が難しい。しかし小型戦術核を使えば、原子炉を破壊して放射性物質を撒き散らしてウクライナ全土を“焦土化”させ、ウクライナ軍を停止させることができます。プーチンは『ウクライナ側による攻撃だ』という嘘を重ねるでしょう。実際、ザポリージャ原発が制御不能になった際の放射能汚染のシミュレーションをロシア側から私は入手しました。これによると、ウクライナのみならずドイツまで汚染されます。もしザポリージャを戦術核で吹き飛ばしたら、EU含め1千万人以上の人間が被害を受けるでしょう」

 

 この資料からは“プーチンの本気度”が窺える。さらに村上氏は、3つの地域の攻防がポイントになるという。

 

「『ルハンシク』『ドネツク』『クリミア』です。これら3つは、’14年の紛争でロシアが手にした地域です。もしここをウクライナ軍に落とされるようなことになれば、プーチンはすべての“戦果”を失うことになる。特にクリミアは重要拠点です。奪還される前に“最終手段”に出る可能性はあるでしょう」

 

“最後の1発”を踏み止まる良識を、あの男には期待できないが…。

( 週刊FLASH 2022年10月11日号 )

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