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世界日報社「旧統一教会と資本関係はない」と『ミヤネ屋』に謝罪要求 番組に出演した元社員は「白々しい抗議文にカチンと来た!」
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2022.10.04 16:32 最終更新日:2022.10.04 18:06
旧統一教会の関係者が創刊に関わった日刊紙「世界日報」を発行する株式会社世界日報社は、10月1日付の「本紙、読売テレビ『ミヤネ屋』に抗議」と題する同紙記事で、教団との資本関係を否定した。
同社は9月13日、『情報ライブ ミヤネ屋』(日本テレビ系)を制作する読売テレビに対し、事実に反する報道をしたとして抗議文を送付。8月16日に放送された同番組で、約30年前に同社で記者として働いていた金沢大学教授の仲正昌樹氏が出演し、「統一教会系の団体が資本を出している新聞」などと述べたが、同社と「統一教会系の団体」や「旧統一教会」との資本関係はないとして、番組内での訂正と謝罪を求めた。
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また、仲正氏は「記者を務めていた当時、文教祖のところに直接呼ばれて報告する人が幹部ということになっていた。編集局長は直接呼ばれて報告する幹部」などとも語ったが、同紙曰くそのような事実はなく、過去の編集局長に確認してもその事実は確認できなかったとして、視聴者に誤解を与えた仲正氏に対しても発言の訂正と謝罪を求める通知書を送った。
さらに、同社は番組制作の過程で事実確認の問い合わせは一切受けておらず、これは報道の公平・公正性を著しく欠き、放送の倫理違反に相当するものだとして、その認識についても読売テレビに問い質したが、9月15日の回答期限までに連絡はなかったという。
同社から通知書を受け取った仲正氏が、その内容について本誌に率直な思いを語った。
「発送者名が当時の上司となっており、それを見てカチンと来ましたよ。私が退社するときに揉めた張本人なのに、何も知らないかのような書きぶりで、よくもこんな白々しいものを自身の名前で送ってきたなと怒りが湧きました。
上司は、私が入社したときに編集局の庶務部長を務めていて、のちに編集局次長になりました。当時の編集局では、幹部が会社のお金の話を大っぴらにしていて、狭い部署だったので上司も確実にそういう話を聞いていました。上司は口数の少ない人だったので、自身が財務状況について話したことはありません。
もし私が間違った認識を得て退社したのだとしたら、上司は『私たちはそんなことを言った覚えはない』というふうに言わなきゃいけない立場のはずです。情報を伝えてきたのは上層部のほうなのだから、部下が認識を誤っているならば、まずは『それはおかしいぞ、なぜそんな間違った考えをしているんだ』と、私に尋ねるべきです。自分たちはきちんと伝えたという自信があり、まともな感覚の持ち主なら、いきなり抗議文を送ってくるようなことはしないはずです。そうしなかったということは、自信のなさの裏返しか、形だけの文書を仕方なく送らされたのでしょう」
当時の編集局では、具体的にどのような話が飛び交っていたのか。
「はっきり覚えているのは、上司の前に次長を務めていた人物に対して私は『うちはなんで記者クラブに入れないんですか、クラブから拒否されてるんですか』と、率直に尋ねたことがあります。その人は、私を含めたその場の若手社員たちの前で、『うちの会計にはやっぱり統一教会が関わっていて、クラブに入るには会計から何からすべて開示しないといけない。そうすると、機関紙的な体質であることがバレちゃうから申請できないんだよ』と説明しました。その場にいれば私の上司も聞こえていたはずで、もしいなかったとしても、同様の話はしょっちゅう編集局でされていたので、上司は間違いなく耳にしていたはずです。
またある時期に、3カ月くらい給料が出なかったことがあり、先輩から『ハッピーワールド(教団の関連団体)からお金がこなくて米櫃が空になった』と言われました。だから、給料が出ないのはハッピーワールドからのお金が滞っているせいだと、当時の社員たちは認識していて、みんな普段からそういった会話していたんです。
もし社員同士でおかしな話をしていたら、それを聞いた上司は立場上『給料が出ない理由は、ハッピーワールドや統一教会が困っているせいではないんだ』と、正す責任があったはずです。でも、そういうことは一切なかったし、なんらかの説明があったという話も聞いたことはなかった。それどころか、幹部たちもお金がハッピーワールドからきているということを当然のように話していて、社長や編集局長も暗にそういうことを言っていました。
私が会社をやめるときにも退職金が出ないと上司から言われ、その理由を説明してくれと楯突きました。上司がそれを覚えていないわけはありません。自分と揉めて部下にやめられた人間が、事情を知らない第三者が書いたような通知文を送ってくるのはあまりにも白々しい。本来なら『君がやめたときに聞いた内部事情は間違っている。なぜそういう考えをもっているのか』と、私に聞いてくるべきです。
上司は私が入社するずっと前、四十数年前から会社にいる最古参なのに、文書では『30年も前のこと』などともう済んだ話のように書いていて、その感覚は人としてどうなのか、この人たちはどうしちゃったのかと感じました」
1984年7月、月刊誌「文藝春秋」に旧統一教会の実態について内部告発する記事を寄稿し、その後、何者かに襲撃された当時の「世界日報」編集局長・副島嘉和氏も、この記事のなかで、同紙と教団との資金のやり取りについて綴っている。
「副島さんは、創刊当初の社員は事実上、全員が信者であり、自身の入社当時も赤字を教団から補填してもらっていたと書いています。現在、教団との資本関係がないというなら、資金提供を受けている状態が解消されたと『世界日報』は説明しなければなりません。
おそらく『統一教会系団体』や『資本関係』についての定義の問題もあるのでしょう。それでも副島さんの手記で、現に赤字が補填されていたと書かれているし、私は在社当時、編集局長を含む幹部が統一教会系の団体からお金が入っていることを前提に、会話をしているのを何度も聞きました。現在は当時と状況が異なるというのであれば、疑いを一掃するため、株式や借入金、通常の運用資金はどこから得ているかなど、財政に関するあらゆる情報を開示すべきです。
また副島さんは『愛のマグロ釣り研修』と称し、毎年、世界日報の3、4人の幹部が文氏と漁船に乗り込み、マグロ釣りをやりながら訓話を聞かされるという行事があったことにもふれています。さらに、神山威氏という元教会長は1991年、当時の編集局長・木下歡昭氏らとともに、文氏と会ったと世界日報の記事に書いています。
『世界日報』から私に送られてきた文書には『過去5代の編集局長に確認しても文教祖のところへ報告に行った事実はない』とあり、『過去5代の編集局長』に限ればそうなのかもしれません。しかし現に木下元編集局長は、我々に文氏のところに行って報告したという話を何回もしていたし、副島さんの記述にあるように、編集局長に限らず『世界日報』を代表する幹部の誰かが文氏と会っていました。
私が虚偽の話をしたので謝罪しろと主張するのであれば、私が勤めていた約30年前に、上司を含む幹部たちは私を騙していたことになるので、『世界日報』のほうがそれを謝罪すべきです。そんなことさえ首脳部は分からなくなっているのかと思うと、元信者、元記者として情けない思いです」
もし、かつて教団側が同社の赤字補填をおこなっていたが、今はそうではないというのであれば、仲正氏の言うように現在の財務状況を明らかにすべきではないか。また、木下元編集局長をはじめ、同社幹部が文氏と会っていたことについてはどのように説明するのだろうか。
そこで本誌は世界日報社に「(過去と現在ともに)教団との資本関係の有無」と「編集局長が文氏と会ったことはあるか」について尋ねたところ、「10月1日付の記事内容以外のことは回答を控える」とのことだった。
また、旧統一教会にも世界日報社との関係を質問したところ、「世界日報社は教団関係者が設立し、友好団体であるが、両者に資本関係はない」という回答だった。
( SmartFLASH )