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英国のメイ首相を敗北に追い込んだレゲエ・ソング社会・政治 2017.06.13

『イギリス国会は大混乱』

『イギリス国会は大混乱』

 

 6月8日に実施された英国の総選挙の結果には世界が驚いた。2020年まで任期が3年も残っていたにもかかわらず、「EU離脱交渉を成功させるために、議会で圧倒的な議席を確保したい」と、4月に突然、解散総選挙に打って出たメイ首相。

 

 当初、野党・労働党に16%以上の差をつけており、既に手にしていた過半数の議席を100議席は上積みし、英国史上2人目の女性首相として燦然と輝くはずだった。

 

 ところが、ふたを開けてみると、330議席あった保守党の議席は318に減り、過半数を割ってしまった。今後の議会運営は「ハング・パーラメント(宙づり議会)」と揶揄されるように、野党労働党の躍進で、何も決められない状況に陥りかねない。

 

 これでは間もなく始まるEU離脱交渉は思うように進まないだろう。選挙結果を受け、英国の通貨ポンドも下落。ホワイトハウスで仲良く手をつないでいたトランプ大統領も「驚いた!」の後、言葉が続かなかった。一体全体、どこで番狂わせが起こったのか。

 

 それを象徴するのが、英国のヒットチャートに突如、躍り出たアンチ・メイ首相ソング。その名も「Liar Liar」(彼女はウソつきだ)。英国の人気レゲエバンドのキャプテン・スカの作品だ。ジャスティン・ビーバーと並ぶ勢いでヒットチャートを駆け上り、投票日の直前には第2位に。ユーチューブでの再生回数は250万回を突破した。

 

 ミュージックビデオはメイ首相と保守党をおもしろおかしく批判する映像をバックに、軽快なリズムで「彼女はウソつき、ウソつきだ。彼女なんか信用できない。できない、できない、できっこない」と繰り返す。その合間には「看護師は給料安くてお腹がスキスキ。学校はあちこち閉鎖続き。こんな壊れた国は自分の国じゃない」といったメッセージが挿入される。

 

 実は、メイ首相はフランスのマクロン新大統領と同じで金融界の出身。イングランド銀行で働いた後、政界入りし、保守党の中で出世階段を上ってきた。とはいえ、マクロン氏が演劇コーチの夫人から俳優並みの雄弁術を学んだのとは対照的で、人前で話すのが大の苦手ときている。身振りがぎこちないこともあり、「ロボット政治家」とも呼ばれるほど。

 

 選挙中も他党との討論会には一切出ず、マスコミのインタビューも拒否。街頭演説や支援集会も少人数の身内の会以外はパスという徹底的な裏工作派。またたま街頭で看護師から「この8年間、給料が上がらず、困っています」と訴えられると、「お金の成る木なんかないのよ。しっかり働くことよ」と一蹴。一般大衆との距離感は半端ない。

 

 内相時代には警察官を2万人削減。今回の選挙も、少し前までは「任期途中での解散は絶対ない」と繰り返していたのに、突然の前言撤回。高齢者の自宅介護の自己負担増を公約として打ち出したところ、有権者から猛反発。

 

 すると、即座に「今まで通り」発言。そんなドタバタ劇を織り込んだレゲエが、大ヒット。その曲通り、「ウソつき」ぶりが明らかになり、大敗をもたらしたといえる。自業自得であり、首相の座にいつまでしがみついていられるのは、時間の問題となりそうだ。(国際政治経済学者・浜田和幸)

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