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たばこの「吸い殻リサイクル」1億6000万本をプラスチック化
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2017.06.14 11:00 最終更新日:2017.07.06 23:49
2020年の東京オリンピックに向けて、受動喫煙対策の切り札と目されていた「飲食店での原則禁煙」を掲げる健康増進法改正案が次の国会以降へと先送りされた。
近年は分煙化や禁煙化が進み、愛煙家たちは肩身の狭い思いをするシーンも増えているが、そうしたイメージを一新させる紙巻きたばこのリサイクルが注目を集めている。
たばこの吸い殻をリサイクルするプログラムは「ナチュラルアメリカンスピリット」を販売するトゥルースピリッツタバコカンパニーと、再資源として利用するのが難しい製品のリサイクルに取り組んでいるアメリカ発のベンチャー企業、テラサイクルが共同で開発した。
テラサイクルのマーケティングコミュニケーションズマネージャーの寺下理恵さんに話を聞いた。
「吸い殻リサイクルは喫煙者のマナー向上を図り、たばこのポイ捨てを撲滅、そして廃棄物をゼロにすることで持続可能な社会を実現するために始まりました。
まず、たばこの吸い殻と葉を分離します。殺菌消毒後に巻き紙部分を除去し、フィルター部分を他のリサイクル原料と一緒に混ぜて高温の炉で溶解することで、プラスチック加工の原料になる『ペレット』を生成します。葉の部分は堆肥に、巻き紙部分は再生紙の原料として活用され、吸い殻を余すことなくリサイクルすることが可能です」
アジアで初めての試みだった吸い殻リサイクルは試行錯誤の連続だったという。最初はフィルターと紙・葉の分離作業を手作業で行っていたため、膨大な時間と手間がかかっていた。
しかし、回転装置を利用したテストを繰り返すことで、吸い殻と葉の部分を自動で分離することに成功。いまでは従来の処理の50倍で分離が可能になった。
「吸い殻から再生した『ペレット』はクリアファイルや携帯用灰皿などにリサイクルしています。2014年4月からスタートし、2017年4月に吸い殻の回収拠点が1000カ所に到達しました。
吸い殻のリサイクルプログラムにご賛同いただいた方であれば、回収協力者は個人・法人を問わずウェブからご参加いただけますが、ありがたいことに現在はキャンセル待ちです。
これまでに約1億6000万本の吸い殻が集まり、約3トンのプラスチックが再生されました」(前述の寺下さん)
テラサイクルのスローガンは「捨てるという概念を捨てる」だという。概念を変えるだけでゴミは資源になる。たばこの吸い殻も立派な資源のひとつだったのだ。