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ソープランド通いはテロ? 素人でもわかる「共謀罪」入門

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2017.06.21 20:00 最終更新日:2017.06.23 14:16

ソープランド通いはテロ? 素人でもわかる「共謀罪」入門

『写真:AFLO』

 

 6月15日、テロ等準備罪いわゆる「共謀罪」が国会で成立した。共謀罪は2人以上で対象犯罪を「準備」した段階で処罰できる。

 

「共謀罪のポイントは、犯罪行為とみなすタイミングが、前倒しされることです。実際に法を犯してからではなく、皆で話し合った段階で犯罪となり、処罰できる」

 

 こう語るのは、成立過程で金田勝年法務大臣に問題点を追及した、民進党の山尾志桜里議員。
 では、いったいどんなことをしたら捕まるのか。

 

 まず、共謀罪が成立する要件を正確に書いておこう。

 

1「テロ組織や暴力団などの組織的な犯罪集団」が、
2「指定された重大犯罪を計画」し、
3 グループの誰かが「お金や物品の手配」「下見」

 

 などを行った場合、全員が処罰されることになる。
 対象となる犯罪行為は277にのぼるが、爆発物製造、列車転覆、誘拐、ハイジャック、水道汚染などは誰にでも理解できるだろう。

 

 ところが、なかには「墓荒らし」など首を傾げるものもある。以下、具体的に見ていくが、一般人に影響しそうなのは「テロの資金源」になるかどうかだ。

 

 国会で話題になったのが、「保安林での森林窃盗」。この犯罪について、「キノコとか竹とか山の幸を無許可で取るとテロの資金源だから共謀罪という話があった。なぜ海の幸は入っていないのか」と質問したのが、前出の山尾議員である。山尾議員によれば、「保安林で松茸を盗む相談をしたら共謀罪が適用されうる」という。

 

 次に意外なのが著作権法だ。楽団員がオーケストラ演奏のため楽譜の無断コピーを相談した場合。もし入場料をとったら、それは「テロの資金源」になるかもしれない。

 

「正式な手順(許可を得るなど)を踏んでいなかった場合は適用される可能性があります。ほかにも、お葬式でお別れの曲を何にするか親戚同士で話し合ったりするだけで共謀罪とされてしまう可能性もある」(山尾議員)

 

 男が気になるのは「売春防止法」だろう。飲んだあと、友達と2人でソープランドに行く相談をしてお金をおろしたら共謀罪なのか?

 

 この質問には、「あくまで共謀罪は対象の犯罪行為が行われることが前提になる」と答え、適用されない可能性が高いとした。これはつまり、ソープランドに行くこと自体は現行の「売春防止法」違反ではなく、店内での行為は自由恋愛というグレーゾーンだから。もちろん、売春組織を作って儲けようとしたら話は別だ。

 

「ポイントはあくまで、対象となった277の違法行為を話し合い、準備することです。政治資金規正法など、政治家にからむ犯罪が含まれていないのも恣意的ですね」

 

 最後に、検察官として働いた経験から、山尾議員はこう警告する。

 

「検察や捜査機関は、法律違反があって初めて動く。つまり法律があるからこそ仕事をするわけです。共謀罪ができたことで、今まで違法だった捜査方法が正当化される可能性があります」

 

 共謀罪は7月11日にも施行される見込みだ。

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