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防衛費財源に「復興特別税方式」での法人税増税を検討 懸念される「所得税・住民税への拡大」「目的外使用」

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2022.12.02 15:27 最終更新日:2022.12.02 15:30

防衛費財源に「復興特別税方式」での法人税増税を検討 懸念される「所得税・住民税への拡大」「目的外使用」

岸田文雄首相は防衛費と関連経費を合わせ、2027年度に国内総生産(GDP)比2%とするよう指示している(写真・JMPA/長谷川 新)

 

 12月1日、政府は、2023年度から5年間の中期防衛力整備計画(中期防)に盛り込む防衛費の総額について、40~43兆円程度とする方向で調整に入った。複数のメディアが報じている。

 

 2019年度から5年間の現中期防(約27兆4700億円)から、約1.5倍となる規模だ。

 

 岸田文雄首相は、2027年度に、防衛費と関連する経費も合わせてGDP(国内総生産)比2%に達するよう指示を出している。

 

 

 防衛費増額の財源として、政府の有識者会議が11月にまとめた報告書は、法人税や所得税の増税などを念頭に「幅広い税目による負担が必要」と指摘している。

 

 法人税増税を実施する場合は、東日本大震災後の復興増税と同じ「付加税方式」を軸に検討している。法人税率自体を引き上げるのではなく、企業ごとに計算する法人税額に一定比率を上乗せして徴収し、防衛費に充てる目的を明確にする。実施は2024年度以降とする公算が大きいという。共同通信が報じた。

 

 防衛費増額の財源としての法人税増税に、東日本大震災後の復興増税と同じ「付加税方式」が検討されていることが報じられると、SNSでは、危惧する声が多く上がった。

 

《防衛費に合わせた増税、復興増税っていって法人税と住民税を入れておいてすぐに法人税からは消したことを根に持っているので、政財界に対して不信感しかない》

 

《復興方式ならば所得税や住民税にまで上乗せされる可能性がある。しかも、無駄な流用や中抜きも自公政権下では十分考えられる》

 

《復興税ってまだまだ続いてるよー!法人の復興はすぐ終わったけど!庶民だけ二重取りかよ!防衛費増額断固反対!》

 

 経済担当記者がいう。

 

「東日本大震災の復興財源を確保するため、2011年12月2日に『復興財源確保法』が公布され、個人・企業から幅広く徴収するため、法人税、所得税、住民税にそれぞれ復興特別税が加算されることになりました。

 

 法人税については、2012年4月から2014年3月末までの2年間、法人税額に10%を乗じた金額が、復興特別税として追加的に徴収されました。当初は3年間の予定で導入されましたが、アベノミクスが掲げた、法人税率の引き下げなど成長戦略の一環として、1年前倒しで終了しています。

 

 所得税については、2013年1月から所得税額に2.1%を乗じた金額が追加課税されています。期間は2037年12月末までの25年間で、復興特別法人税が終了したあとも、徴収され続けているのです。

 

 住民税は、2013年度から2023年度までの10年間、都道府県税と市町村税でそれぞれ年間500円、合計1000円が追加で徴収されています。2023年度で終了しますが、2024年度からは『森林環境税』として、同額の1000円が課税されます。

 

 復興特別税に関しては、2013年に被災者のための雇用対策事業の予算2億円のうち、約1億円が被災地以外で使われていることが報じられるなど、『復興』とはかけ離れた使用がたびたび問題となりました。財務省と復興庁は、2013年に復興財源として、23事業に配分された基金の返還を要求しましたが、要求のあった1兆円のうち、約7割は返還されないままとなっているのです」

 

 所得税と住民税も、「防衛」という名のもとに、新たな徴収が始まるのだろうか。注視していく必要がありそうだ。

( SmartFLASH )

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