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NHK会長に元日銀理事、選任されなかった前川喜平氏は「経営委員会の体を成していない」と批判

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2022.12.08 15:07 最終更新日:2022.12.08 15:12

NHK会長に元日銀理事、選任されなかった前川喜平氏は「経営委員会の体を成していない」と批判

前川喜平氏は文化庁宗務課長時代、旧統一教会の名称変更申請を一貫して受理してこなかった

 

 12月5日、NHKの最高意思決定機関である経営委員会は、2023年1月に任期満了となる前田晃伸会長の後任に、元日銀理事の稲葉延雄氏を任命することを委員12人の全員一致で決定した。

 

 稲葉氏は静岡県出身。1974年に日銀に入行し、システム情報局長や考査局長などを経て、理事に就任。2008年からリコー特別顧問を務め、現在はリコー経済社会研究所参与を務めている。

 

 

 NHK会長は2008年にアサヒビール元会長の福地茂雄氏が就任して以降、前田氏まで5人連続で外部からの起用だった。稲葉氏で6代連続となる。

 

 稲葉氏がNHK次期会長に選出されると、SNSにはこんな声があがった。

 

《前川喜平氏じゃなかったの?》

 

《前川喜平さんを次期NHK会長にと市民団体が4.4万人の署名を提出したらしいですが、思いは届かず》

 

《前川さんのほうが断然国民の為になると思う》

 

 NHK会長人事をめぐっては、NHKの政権忖度を問題視した市民団体「市民とともに歩み自立したNHK会長を求める会」が、元文部科学省事務次官の前川喜平氏の推薦を決め、11月から署名活動を開始。12月1日には、署名約4万4000筆をNHK経営委員会の担当局に提出しており、前川氏自身も会長就任に意欲を見せていた。

 

 ただ、NHKの会長人事は経営委員会が決めるもので、稲葉氏の選出には、経済人を望む岸田文雄首相の意向が強く反映されたとみられている。

 

 NHKの次期会長に稲葉氏が選出されたのを受け、前川氏に話を聞いた。

 

――NHK次期会長に、元日銀理事の稲葉延雄氏を充てる人事が固まりました。

 

「稲葉さんのことは、まったく存じ上げませんので、NHK会長として、今後どういう手腕を発揮されるかは、私にはまったくわからないですね。

 

 一視聴者から言えば、政府に言いなりになるような経営はしないでほしいと思います。現場の自由、報道の自由、番組制作の自由を貫いてほしいと、それに尽きます。

 

 ただ、会長の選び方の密室性、不透明さというのは間違いなく公共性を欠くものだと思います。それ自体は、稲葉さんの問題ではないですけど、6代にわたって経済人というのは、ちょっと異常だと思います。しかも、稲葉さんを含めて、6代の会長がすべて官邸主導で決まり、経営委員会が機能していないことも問題だと思います。

 

 本来、経営委員会でじっくりと議論したうえで会長を決めていく、そういうプロセスが必要だと思うんですが、官邸が決めた人が、そのまま経営委員長を通じて経営委員会で決まっていく。こういうことであれば、経営委員会の体を成していないと思いますね。

 

 会長を選ぶということは、経営委員会のいちばん大事な仕事の一つだと思うんです。12人の委員の知恵を集めて決める。本来、こういうものだと思うんですが、官邸が決めたとおりに決まってしまうのは、大きな問題だと思います」

 

――前川さんをNHK会長に推薦することに賛同する署名が4万4000筆も集まりました。

 

「客観的な情勢として、私がNHK会長に指名される可能性はほとんどないと思っていました。(署名が4万4000筆も集まったことについては)必ずしも私でなくてもよかったと思います。

 

 とにかく、今のNHKのあり方に疑問と不満を持っておられる人が非常に多いということを、この数字が示していると思いますね。

 

 これまで、おそらく20~30年にわたって、ジワリジワリと政治の支配が及んできて、番組の編成にも口を出す。こういうNHKのあり方について、疑問あるいは不満を持っている国民・視聴者が多いんじゃないかと思います。私も、その一人ですからね」

 

 12月6日、稲葉氏が記者会見し、NHKが国民・視聴者の信頼を得ていくためには、公正・公平で、確かな情報や質の高い番組を提供していくことが重要だとして、組織の先頭に立って取り組む決意を示した。

 

 稲葉氏の言葉どおり、NHKにはぜひ公平・公正な報道を心がけてほしい。

( SmartFLASH )

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