「(岸田首相に)罷免されるのであれば、それはそれで仕方ない」
岸田文雄首相が表明した防衛費増にともなう増税方針に対し、高市早苗経済安保担当相が反対を表明。12月13日の閣議後の会見で、高市氏は自身の強い覚悟でこう述べていた。
高市氏の強い反対もあってか、増税方針は15日になって与党の税制調査会で、対象となる法人税、所得税、たばこ税の増税時期を明示せず、「令和6年(2024年)以降の適切な時期」とすることで合意。事実上の先送りとなった。
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だが閣僚として異例の反対論を表明した高市氏は、党内で孤立感を深めているという。岸田首相の出身派閥「宏池会」の中堅議員がこう吐き捨てる。
「そもそも、高市さんは閣僚です。内閣の方針に反対なら、辞任するべきですよ。高市さんは、岸田首相が増税方針を示した8日の政府与党政策懇談会に呼ばれていないと反発していましたが、そもそも彼女は会のメンバーではない。スタンドプレーが過ぎるでしょう」
高市氏に疑問を抱くのは、この議員だけではない。いまや、党内では“高市離れ”が始まっているという。
「高市氏の『罷免発言』は、党内の増税反対派に存在感を示す狙いだったのでしょう。ところが、SNSや会見で真っ向から反論するのは倒閣行為じゃないかという批判が党内から上がり、却って増税に反対する議員は声を上げにくくなりました。
その証拠に、『罷免発言』があった13日には20人以上が高市氏に同調していたのに、翌日の増税反対派の会合ではわずか5人にまで減っています。この5人は確かに“高市派”と呼べるのでしょうが、これでは総裁選の推薦人の確保だって絶望的ですよ」(同前)
高市氏には、自分こそが安倍路線の継承者だという自負があるようだが、支える議員がいないのでは話にならない。17日に開かれた杉田水脈議員の政治資金パーティで、そんな高市氏の窮状が残酷な形であらわになった。杉田氏は、前回の総裁選で高市選対の実質的な広報担当を担っていたのだが……。
「このパーティで杉田議員がぴたりとくっついていたのは高市さんではなく、稲田朋美議員でした。稲田議員は、アイヌ民族や女性に対する差別発言で集中砲火を浴びたばかりの杉田議員に、自ら連絡して相談に乗っています。稲田議員は自身の経験を踏まえて杉田議員のメンター的な立場にいるようです。杉田さんは高市さんから稲田さんに乗り換えたのだと、永田町でささやかれていますよ(笑)」(同前)
先の中堅議員がこう続けた。
「年明けに内閣改造と党役員人事が確実に行われるととみられています。高市さんはおそらく、内閣でも党でも、重職には起用されないでしょう。ポスト岸田は茂木幹事長か菅前首相が有力ですが、両氏と高市さんはどちらとも関係がよくない。政局がどう転んでも、当分は冷や飯を食らうことになるでしょうね」(同前)
杉田氏のパーティには、櫻井よしこ氏や田母神俊雄氏らも姿を見せ、参加者は数十人に及んだという。かつての“愛弟子”にも見切りをつけられたようだ。
( SmartFLASH )