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安倍晋三氏が“体育座り”で「再登板できないよね」とポツリ…維新・馬場伸幸氏が見た忘れられない光景【政敵が明かす美談】
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2022.12.24 06:00 最終更新日:2022.12.24 06:00
「今も忘れられへん安倍さんの姿を見たんです」と、馬場伸幸氏が思い起こすのは、2012年2月、大阪維新の会が主催した教育再生機構のシンポジウムに参加した際の安倍氏の姿だ。
「会が終わった後、打ち上げでもしよかということで、近所の居酒屋に行ったんです。大将と女将さんが2人でやってる小さな店ですわ。そこに安倍さんもいらしてね。体調を理由に総理をお辞めになったくらいやから、お体に不安もあったんやろうけど、そのときは気分がよかったんでしょうね。ビールをコップ一杯飲んでおられましたよ」
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掘りごたつの席で、普通なら足を伸ばして座るが、安倍氏は、両腕で膝を立てて抱える “三角座り(体育座り)” だった。当時、安倍氏は政権を投げ出したと批判され、失意のどん底にあった。
「なんか、覇気がないというか。そのときの安倍さんの心の内がそういう座り方に出てたんと違うかな。そのとき、同席した松井(一郎元代表)さんたちが、安倍さんに総理復帰をいくらすすめても、『病気で辞めた人間が再登板できないよね』と、弱気な感じでしたね」
しかし、2012年12月、安倍氏は復活を果たす。馬場氏が偶然、国会の正門近くで安倍氏と遭遇したのは、そのころだった。
「僕の同級生が数人、東京に遊びに来ていて国会見学をしたいと言うので、国会の中を見て回って正面に出てきたら、たまたま安倍さんも出てこられたんです。
安倍さんは、いったん車に乗られたんやけど、僕の友人がいることに気づくと、車から降りて一人ずつ握手してくれはったんです。友人たちは、いまだにその話をするからねえ。安倍さんはそういうフランクな面をお持ちなんです。総理に復帰してからは自信満々でしたね」
自民党と日本維新の会の蜜月ぶりを示す例としてよく挙げられるのが、毎年お盆の時期とクリスマスにおこなわれていた食事会だ。自民党からは安倍氏、菅義偉氏、日本維新の会からは松井氏、橋下徹氏の4人が一堂に会する慣わしだった。
「この食事会に、僕も一回だけ呼んでもろうたんですよ。キャピトル東急の和食の店でしたね。
おもしろかったのは、橋下さんが安倍さんに子供みたいなことを聞いたこと。『総理、プーチン大統領って笑うんですか?』とかね。安倍さんは『そりゃ、お笑いになるときもありますよ、もちろん』と答えてね。あのときの安倍さんは、元気がガーンとうなぎ上りで、ハイテンションでしたね。しかも、ウイットに富んだ話をして。例の居酒屋のときとは大違いでしたわ。
安倍さんって、ルーツは山口で、生まれは東京ですやんか。でも、お笑い感覚は、わりと関西っぽい。いろんな議員さんの昔の話とかしてくれるんですけど、それが腹を抱えて笑うくらいおもしろいんですよ」
安倍氏は、挫折を経験してひと回り大きくなったと、馬場氏は見る。
「安倍さんは、第一次政権を離れたころ、よく大阪に来て、やしきたかじんさんの番組に出演していました。たかじんさんは、安倍さんと一緒に露天風呂に入ったりして、励まそうとしたんやと思います。安倍さんは挫折から、世の中の厳しさとか、逆に人の温かみを知ったんやないでしょうか」
居酒屋で “三角座り” していた安倍氏と、胸を張る絶頂期の安倍氏。馬場氏はその両方を間近で見ている。
「安倍さんが底辺にいるときも頂点にいるときも、両方の姿に接することができた。それは政治家として、ほんま貴重な体験やった。岸田さんとも、一回だけ食事に行きましたが、まあ、ええ人やったと言うておきますわ(笑)」
安倍氏がいなくなった今の自民党は「怖くない」と、馬場氏は明確に言い切った。
写真・長谷川 新、時事通信