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加計問題で判明「日本一美しい獣医」が訴える獣医業界の闇
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2017.07.09 06:00 最終更新日:2017.07.10 15:09
6月24日、安倍首相が会見で「獣医学部の新設は2校でも3校でも意欲があればどんどん認めていく」と発言した。家計学園の獣医学部新設に関しては、文科省の前川喜平・前事務次官が「総理の意向」という文書の存在を告発し、官邸、官僚を巻き込んだ大騒動に発展したところだった。
「獣医学部を新たに作ることには反対です。それよりも現場の獣医師の労働環境を改善することが先決」
獣医学部の建設推進に反対の声を上げるのは「Dr.kana」。かなり際どいミニスカートに白衣姿で編集部に登場した彼女は、都内の動物病院で働く「日本一美しい」現役獣医だ。
獣医と並行して「ジグヘッドバンシーズ」というバンド活動を行っており、エロとロックを融合させた「エロック」が売り。フェイスブックに下着姿で激しく動くMVをあげたところ、問い合わせが殺到。映像が過激すぎて、一時アカウント停止になったほどだ。
そんな彼女が首相にNO!と言うのは、これまで獣医として働いてきた動物病院のブラックな労働環境が原因だ。
「1日15~16時間の長時間労働は当たり前でした。通常の診察(朝8時~19時)に加え、手術を担当していたため、それが終わるまで帰れない。動物たちが命に関わる状態であれば、術後も深夜遅くまで様子を見る必要があります」
大学を卒業後、まず北海道にある動物病院に5年間、正社員として勤務した。10人ほどスタッフのいる比較的大きな動物病院だった。初任給は24万円ほど。給料を時給換算すると、明らかに最低賃金を割っていた。
仕事をしながら、週1日ほど北大の獣医学部に通い、専門技術の習得に努めた。そのかいあって、最終的には外科部長にまで昇進。その後、専門資格を取るため、神奈川の病院へ移る。
「この病院がブラック中のブラックでした。3年間いましたが、長時間労働のため人の入れ替わりが激しく、私とあと1人以外は全員辞めていきました。その1人も後日退職したと聞いています」(同上)
院長のやり方は巧妙で、残業を指示することはなかったが、深夜2時でカルテの記録が止まっていると、「なんで止まっているの?」と聞いてくる。これはつまり、入院中の動物につきっきりで面倒をみろという意味だ。給与体系が「基本給」+「残業代」と書類が作られており、表面上は問題ないように処理されていた。
専門資格取得と技術向上のためこの病院に来たのだが、院長の技術は決して上手とはいえなかった。手術の回数が実績に直結し、命を救えるか救えないかに関わらず、手術さえすれば1ポイント獲得できる。ただひたすらポイントを稼ぐだけにしか見えない現場は、「動物の命を救う」という自分の理想と大きくかけ離れていた。
Dr.kana氏は、現在、シフト制のアルバイトとして都内の動物病院を掛け持ちして働いている。今のほうが、正社員で長時間拘束されていたときより、断然働きやすいという。
「獣医学部を新設して獣医の卵を作っても、現場の労働環境が改善されなければ、ただ辞めていく獣医を新しい人材で埋めていくだけ。単なる人材の使い捨てです。まずやるべきことは、労働環境を改善して、今いる人材の流出を防ぐことなんです」(同上)
これは、同じく資格が必要な保育士の給料が低すぎるとして問題になったのと同じ構造だ。ブラック労働が増えている日本は、今やどの業界でも人材が使い捨てになっているわけだ。
こうした状況を見かねたDr.kana氏は、エロでロックな歌で、まずは獣医の労働環境の改善を訴える。その先は、日本の全労働者を救う救世主を目指すという。
どくたーかな
5人組ロックバンド「ジグヘッドバンシーズ」のボーカル。8月8日にイベント開催予定。詳しい情報はhttp://artist.aremond.net/zigg/まで