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1億5000万円の「お布施」私的流用の住職に追徴課税「宗教法人は非課税では?」曖昧な境い目事情を税理士が解説

社会・政治 投稿日:2023.01.31 20:35FLASH編集部

1億5000万円の「お布施」私的流用の住職に追徴課税「宗教法人は非課税では?」曖昧な境い目事情を税理士が解説

大阪国税局の入る合同庁舎(写真・共同通信)

 

 和歌山県の住職2人が「お布施」として受け取った約1億5000万円を私的に使ったとして、大阪国税局から追徴課税を受けていたことが明らかになった。

 

 この住職2人は、和歌山県内の2つの宗教法人で代表を務め、それぞれが7~8カ所の寺の住職を兼務していたという。2人は2021年までの7年間で、檀家などから受け取った約1億5000億円を、自分名義の口座に入れて個人的に使っており、これが大阪国税局から「給与」にあたると指摘された。国税局は、2法人に重加算税を含む7800万円を追徴課税し、すでに全額が納付されている。

 

 

 住職らは「読売新聞」の取材に対し「お布施は少額だったので帳簿もつけず、個人口座で管理していた」「徴収漏れはミスでしてしまった」などと話しているが、SNSではあまりのルーズさに、《坊主丸儲け》だと非難が殺到している。

 

 だが、寺などを運営する宗教法人は「非課税」という話も、よく聞くのだが……。

 

「すべてが非課税ではなく、厳密には『宗教活動には課税されない』ということです」

 

と、解説するのはベテランの税理士だ。

 

「今回のケースでいえば、宗教法人が住職や従業員に給与を支払う場合、一般の事業所と同じように源泉所得税を給与から控除し、それを納付しなければいけません。

 

 宗教活動以外で儲けていれば課税対象になるわけですが、実際にはその境い目は、なかなか分かりづらい。例をあげれば、お守りやおみくじの販売は非課税ですが、御朱印長や線香、ろうそく、供花の販売は課税対象です。

 

 何が課税対象になるかは、国税庁が『物品販売業』『料理店業その他の飲食店業』『不動産販売業』『駐車場業』など、34の営利事業を指定しています。しかし、たとえば宗教法人で結婚式を挙げた場合はどうか。結婚式そのものは、宗教活動の延長として非課税ですが、挙式後の披露宴は営利事業で課税対象になる。このように、かなり複雑なのです。固定資産税の課税範囲もかなり曖昧で、過去には裁判で争われたこともあります。

 

『坊主丸儲け』『税金がなくていい』などといった話は、多くの場合が誤解で、ある意味“妬み”ともいえるでしょう。ただ、宗教法人に対する優遇があることも事実で、それを悪用した、まさに『生臭坊主』そのものといえる事例も、存在することはたしかです」

 

 近年、国税当局は宗教法人の調査を強化しているが、毎年、約7割の宗教法人で源泉徴収漏れがあるという。

 

 現金で渡され、金額が決まっておらず、領収書もない「お布施」。SNSには不透明なお布施のシステムについて《不正の温床をいつまで放っておくのかな いい加減にしろよって話だ》という声もある。

( SmartFLASH )

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