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児童手当の所得制限「維持すべき」56%に 子だくさんでも支援から外れる「子育て罰」を訴える悲痛な声
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.02.06 17:20 最終更新日:2023.02.06 17:20
2月4、5の両日にJNNが実施した世論調査で、政府が廃止を検討している「児童手当の所得制限」について、「継続すべき」が56%で「廃止すべき」の33%を上回る結果となった。
児童手当は、中学校卒業まで、子供1人あたり月に1万円~1万5000円が給付される。ただし所得制限があり、子供2人の家庭では、夫婦どちらかの年収が目安として960万円程度以上だと、月5000円の「特例給付」となり、年収1200万円以上は支給の対象外となる。
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たしかに所得制限撤廃は、高所得者優遇になる、と指摘する政治家もいる。その筆頭が、西村康稔経済産業相だ。2月1日、自身のTwitterにこう書きこんでいる。
《年収1200万円以上の給与所得者は全体の5%に満たない割合で、高額所得者です。児童手当てについては、拡充を行うならば、所得制限を撤廃して1200万円以上の富裕層に支給を行うよりも、所得の低い方に対して上乗せするなどより手厚い支援を行っていくことを優先すべきというのが私の考え方です》
だが、児童手当の所得制限を「継続すべき」が56%と過半数を超えたことには、SNSで悲痛な訴えが拡がっている。
《いやいや、何でそうなるんだ。ただでさえ納税割合が高くて社会貢献度の高い世帯にデメリットを与える意味が全く理解出来ません。足を引っ張る国民性ということか…》
《年少扶養控除廃止を知らないでしょ。児童手当は年少扶養控除の代わり。それなのに所得制限で子供が増えると増税されてるんだよ!》
順を追って見てみよう。
旧民主党政権時代の2010年4月から、「子ども手当」として、0歳~中学校卒業まで、子供1人あたり月1万3000円が所得制限なしで支給された。それまでの旧児童手当の金額が月5000~1万円で所得制限もあったため、手当としては大幅な拡充となった。
だが、旧民主党政権は「所得控除から手当へ」を掲げ、年少扶養親族(~15歳)に対する扶養控除(38万円)を廃止した。所得税が2011年1月から、住民税が2012年1月から廃止された。控除とは課税対象金額から差し引ける仕組みで、なくなれば負担増となる。それでも「子ども手当」の恩恵はまだあった。
だが、自民党が「子ども手当」をバラマキと批判し、「所得制限の導入」を訴えたことで、児童手当が復活。以降は、高所得世帯では恩恵よりも負担が増えることとなる。
2012年4月から新児童手当として月1万~1万5000円が支給されるが、2012年6月ぶんからは所得制限が導入され、年収960万円程度以上の世帯には月5000円の「特例給付」が支給されるだけとなった。この「特例給付」5000円のみの世帯は、年少扶養控除がなくなったことを考えれば、すでに負担増となっていた。
そのうえ、2022年10月からは、夫婦どちらかの年収が1200万円以上だと、給付はゼロになった。当然ながら、さらなる負担増となる。この世帯が、西村氏の言う「全体の5%に満たない世帯」なのだ。
SNSでは、児童手当の所得制限世帯に対して、「子育て罰」という声も上がっている。
《経済産業大臣が働き損の子育て罰を推進しててヤバイって賢いみんなは気付こうね》
《10年間所得制限された者です。累進課税で高い税金もきちんと納めていますが、子供5人なのに児童手当、高校無償化などあらゆる子育て支援から外されています。勤労意欲低下、差別感を味わいながらの子育て。子育て罰ですか?》
これで所得制限が撤廃されなかったら、ますます悲痛な訴えが拡がりそうだ。
( SmartFLASH )