社会・政治社会・政治

安倍元首相、回顧録で語った「小池百合子はジョーカー」総裁選、知事選、希望の党で “女帝” 立ちはだかる

社会・政治 投稿日:2023.02.11 06:00FLASH編集部

安倍元首相、回顧録で語った「小池百合子はジョーカー」総裁選、知事選、希望の党で “女帝” 立ちはだかる

写真・時事通信

 

 通算8年8カ月にわたる歴代最長の政権を築いた安倍晋三元首相の『安倍晋三 回顧録』(中央公論新社)が、2月8日に出版された。

 

 安倍氏の聞き手を務めたジャーナリストによると、インタビューは、首相退任した翌月2020年10月にスタートし、2021年10月まで18回、計36時間に及んだという。

 

 2022年1月にはほぼ完成し、まもなく出版というタイミングで安倍氏から「待った」がかかり、そのうちに銃撃事件が発生。安倍氏の四十九日が明けたころ、昭恵夫人に出版の許可を求めたところ、快諾を得た。

 

 

 読みどころのひとつは、政権の歩みのなかに織り交ぜられる「人物評」だ。そこには、小池百合子東京都知事の名前もあり、多くの紙幅が割かれている。

 

 コロナ禍で小池氏が「ステイホーム」や「東京アラート」などを呼びかけたことについて、《小池さんの発信力はものすごい。とにかく、命名もメディアの使い方もうまい》と称賛。

 

 一方、希望の党の失敗については、《政策を見たら、あまりにも中身がない》《一瞬、絶頂期を迎えて、高飛車な態度になってしまった》などと厳しい評価を下している。

 

 安倍氏は小池氏を《ジョーカー》と呼び、《彼女は、自分がジョーカーだということを認識していると思います。ジョーカーが強い力を持つには、そういう政治の状況が必要だね、ということも分かっている》と綴る。

 

 小池氏について多くの記事を書いてきた政治評論家の伊藤惇夫氏が、こう解説する。

 

「安倍さんと小池さんのぶつかり合いの山場は、3つあったと思います。

 

 1つめは、安倍さんが再選にチャレンジした2012年の自民党総裁選。第一次安倍政権のとき、2人は良好な関係で、安倍さんは小池さんを総理補佐官や防衛大臣に抜擢するなど重用していました。

 

 この総裁選のとき、小池さんは、はじめ安倍陣営にいましたが、人の集まりが悪いのを見て、すぐ石破陣営に乗り換えました。これが裏切りだと、後々まで安倍さんの周辺は言っていました。

 

 回顧録では、安倍さんは『気にしていない』と書いていますが、だいたい悪い話はしませんから、そこから本音を読み取る必要があります。この小池さんの行動はしこりを残したはずです。

 

 2つめは都知事選への出馬。党内では、小池さんの動きを止めようとしましたが、結局、飛び出しました。自民党は増田寛也さんを立てましたが、小池さんに負けてしまう。これも、自民党にとっては、『勝手なことをして』というマイナスポイントだったと思います。

 

 3つめは2017年の衆議院解散と同時に、小池さんが希望の党を立ち上げたこと。これは明らかに安倍自民党に対する挑戦でした。

 

 希望の党を立ち上げた直後、自民党は大騒ぎしていました。下手をすると150議席くらい取るんじゃないかと、当時、自民党の議員たちは青ざめていました。一時的には、安倍さんも恐怖を感じたかもしれません。

 

 これは後日談ですが、安倍さんの最側近の人は、小池さんの生い立ちを描いたノンフィクション『女帝』が発売されるとすぐに読み、著者の石井妙子さんにも会ったそうです。でも、結局、選挙は自民党が圧勝し、希望の党は惨敗しました。

 

 安倍さんの『ジョーカー』という言葉が象徴しているかもしれませんが、小池さんは何をしてくるかわからないという警戒心はあったでしょうね。

 

 私が感じるのは、小池さんはバクチ打ちだということ。かわいがってくれた小沢(一郎)さんを裏切って二階(俊博)さんたちの保守党へ行き、小泉政権での郵政選挙のときもいち早く刺客に手をあげ、都知事選にも立候補した。

 

 そして、彼女はずっと勝ってきたんです。ところが、希望の党という大ばくちには負けた。これが終わりの始まりだった気がします」

 

『安倍晋三 回顧録』では、小池氏について《彼女を支えている原動力は、上昇志向だと思いますよ》と書かれている。女性初の総理を目指していたと言われる小池氏。真の “女帝” への野心は、まだ燃えているのだろうかーー。

( SmartFLASH )

続きを見る

社会・政治一覧をもっと見る

社会・政治 一覧を見る

今、あなたにおすすめの記事