築地市場問題の最終的な判断を下した小池百合子都知事。豊洲へ移転しつつ、築地跡地は再開発することになった。じつは懸念されているのが、それによるネズミの問題だ。
「掃除をしているとはいえ、築地市場には食べ物が豊富にあります。食品が大量にあるため、煙を使った追い出しもできない。ネズミは、寝床と餌をとる場所が分かれていることが多いが、築地の場合は両方がある。彼らにとっては過ごしやすい場所なんです」(都内ネズミ駆除業者)
一部では「スーパーラット」と呼ばれる、殺鼠剤に耐性のあるネズミも出現したと言われるが……。
「殺鼠剤はそもそも成分が強力ではありません。殺鼠剤には、即効性のものと遅延性のものの2種類あります。ただ、即効性のものを使うと、死骸を見つけることが難しくなってしまい、その後の悪臭の原因になるため、あまり採用しません」(同上)
このためメーカーもより強力な殺鼠剤を作ることに消極的なようだ。今の主流も、15~20年前に開発されたものだという。しかも、薬剤を長く使い続ければ、耐性がついてしまう。
さらに、人間が思っているよりネズミは頭がいいと付け加える。
「サバイバル能力に長けたネズミは敏感で、殺鼠剤をそのまま食べるようなことはしません。それで、食べ物と混ぜるのですが、そうすると必然的に毒性が薄まります。遅延性の殺鼠剤を使い、ネズミの動きを鈍らせてからトラップで捕獲する方法がより効率的です」(同上)
一説によると、築地市場には5000匹以上のネズミが棲息しているという。取り壊しによって住みかを失ったネズミたちはどこへ向かうのか。
「住みかを失った大量のネズミが銀座や新橋周辺に流れ込む可能性が考えられます」(同上)
駆除業者によれば、銀座はもともとたくさんネズミが生息するエリア。飲食店がたくさんあり、ビルとビルの間に穴を掘って生息しているという。
「銀座に生息するネズミと築地からのネズミが飽和状態になり、より周辺に逃げ出す可能性がある」(同上)
つまりは、銀座エリアだけでなく、東京中にネズミが広がりそうなのだ。もちろん、橋で繋がった豊洲もネズミだらけになる可能性が高い。
これを防ぐ方法はないのか。取り壊す際、フェンスで覆って流出を防ぐ方法が候補にあがっているが……。
「繰り返しますが、ネズミは我々が思っているよりも敏感で、頭がいい。場内の業者が建物を出始めた瞬間、つまり餌がなくなった瞬間に移動を始めるはずです」(同上)
結局のところ、効果的な対策はほとんどないという。7月2日の都議選では圧倒的な勝利をあげた小池都知事だが、対策を間違えれば、実は勝利したのはネズミだったということになりかねない。